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バックナンバータイトル642号

あなたの想い、寂しさ話して

自殺予防「千葉いのちの電話」の取り組み

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相談者の話に聴き入るボランティア

▲相談者の話に聴き入るボランティア

わが国では、年間の自殺者が3万人を超える状況が1998年から続いている。日本人の自殺率は先進国の平均の2倍と言われているが、これまで具体的な対策は取られてこなかった。このような状況から2006年6月になってやっと、自殺対策基本法が成立し、自殺予防総合対策センターを設置、国レベルでの自殺防止対策が始まった。そんな中、89年10月1日に開局した「千葉いのちの電話」は、ボランティアの手で17年間、自殺予防のための無料電話相談を24時間体制で続けてきた。01年からは厚生労働省の自殺予防対策事業にも協力。毎年12月1日から一週間、「フリーダイヤル自殺予防いのちの電話」も実施してきた。同会の活動には、年間2200万円がかかるが、その活動費はすべて会費と寄付、チャリティコンサートやバザーの収益でまかなっているという。

【戸田 照朗】

「いのちの電話」は、1953年、イギリスのロンドンで、自殺した少女への痛みから、チャド・バラーさんが組織的な電話相談活動を開始したのが、始まり。

その後、活動が世界に広がり、日本には、69年にドイツ人のルツ・ヘットカンプさんが提案し、71年10月1日に「東京いのちの電話」が開局。2006年6月現在で、全国に49の「いのちの電話」(社会福祉法人45、NPO法人6)がある。

年間に寄せられる相談電話は、約71万4000件。うち自殺志向のあるものは4万5650件(全体の約6%)だという。相談には、7300人のボランティアがあたる。

社会福祉法人「千葉いのちの電話」は、4台の電話で24時間相談を受けている。年間の相談件数は約2万5000件。うち自殺志向は約2000件(全体の約8%、05年1月〜12月の集計)。

相談ボランティア325人と活動ボランティアなどで運営している。

ボランティアが足りない

「電話が4台ともふさがっていて、つながらない時もあるので、実際にはもっと多くの電話がかかってきていると思います。正確な数字を把握するのは難しい」。こう話すのは、8年間相談ボランティアをやり、現在は理事も務める妙子さん(仮名、主婦・59)だ。

「それなら、電話を増やせば」と安易に考えてしまいそうだが、同会の活動で、一番難しいのがボランティアの確保だという。24時間5交代制でボランティアが常時詰めるのは並大抵のことではない。相談員の養成にも時間がかかり、1年10か月の研修が必要となる。完全な無償の活動で、本人の気持ちが続かないと難しい。デリケートな問題を扱うため、不向きだと判断すれば、認定を見合わせることもあるという。

研修では専門家による様々な講義のほか、ロールプレイ方式による訓練を重ねる。相談員になった後も、月に1、2度は、ベテランの相談員による研修を受けるという。

相談員は20代から70代まで幅広くいるが、一番多いのが50代と60代。9割以上が女性で、家族の介護などの問題でボランティアを続けられなくなる人も少なくない。

話して気づくこと

「女性は夫や子どもが自分を理解してくれない。寂しい、といった相談。男性では、仕事をしようとするが、人間関係がうまくいかず、続かない。妻が家を出た、あるいは結婚できない、という相談をよく受けます。女性は家族について、男性は経済的困窮(仕事)が多いようです」と妙子さんは話す。

相談件数では、女性のほうが男性より多い。

「女性のほうが相談しやすいんだと思います。男性は、最初から相談しても無駄だと考えているのか、一人で抱え込んでしまう傾向があるのかもしれません」。

また、うつ病や精神疾患と思われる人の電話も増えているという。

「とにかく、相手の話をよく聴くようにしています。たいていの人は自分のなかに答えを持っているもの。最初はパニックになっていても、話すうちに自分の考えが整理できて、落ちつくと、私の気持ちはこうだったんだ、と自分で気づく人もいます。そういうお手伝いをできたときが、一番うれしい」。

妙子さんが、ボランティアを始めた当時は、妙子さん自身、50代を前に、これからの人生をどうしてゆこうかと、漠然とした不安をかかえていたという。

「(それが目的だったわけではなく)結果的に、ということになりますが、この活動を通じて自分を育ててもらったという気がします。自分に返ってくるものも多かった。親の介護もしていますが、嫌なことばかりではないと思えるようになった。自分の枠に止まるだけではなく、自分を広げていける。お金では買えない経験です」と話していた。

相談ボランティア募集中

同会では、現在、電話相談ボランティアの第20期養成講座の受講生を募集している。募集説明会は、5月16日d、5月19日g、午後2時より千葉商工会議所(千葉中央ツインビル)12階で開催。以降の日程など、詳しくはお電話で。

また、同会では、自死遺族支援の取り組みとして、「わかちあいの会 ひだまり」も定期的に開催している。家族や愛する人を自殺で亡くしたという人の心の傷はなかなかいえない。グリーフケア(悲嘆回復ワーク)の専門家の協力で運営している。詳しい日程や内容は電話で。

お問い合わせは、1043・222・4322(4416)千葉いのちの電話事務局。

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若者の若者による
ボランティア情報誌

編集が大詰め、来月発行へ

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編集作業でアイデアを出し合う若者たち

▲編集作業でアイデアを出し合う若者たち

 

自分探しの見本市

▲自分探しの見本市(松戸市提供)

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上矢切にある、まつど市民活動サポートセンターで、6人の若者が、若者のためのボランティア情報誌を作っている。現在は、仕上げの段階で、編集作業も大詰めだ。

6人は、同センターの呼びかけで集まり、昨年の夏から編集作業を進めてきた。メンバーは、古川愛子さん(15)、鈴木朝美さん(同)、松井奏くん(17)、細嶋千広くん(18)、有川かおりさん(20)、山崎武昭さん(22)。いずれも、市内在住か在学の中学生から大学生までの若者だ。

情報誌のタイトルは『ゆ〜しんぐ』とする予定で、B5版、8ページ。内容は、ボランティアについての座談会、読者がどのボランティアに向いているかを考えるフローチャート、実際にボランティアを体験してのレポート、各ボランティア団体の情報など、少ないページ数ながらも盛り沢山。

メンバーは、今までまったくボランティアの経験がない人や、逆に子どものころから活動に親しんできた人など、経験は様々。ボランティアに対する若者の率直な想いを反映した誌面作りとなっている。B5版というサイズも「会社などではA版が主流みたいですが、学校ではB版をよく使うんです。親しみやすいB版でやりたかった」とメンバーの一人。また、「バックに入りやすい大きさ」だという。

8ページという薄さも「あんまり文字が多いと読まないから」。

この情報誌は、来月3日の第4回NPO・市民活動見本市「自分探しの見本市」でお披露目される予定だったが、編集が多少遅れているため、来月中旬以降の発行になりそうだ。市内の公立高校などに配付されるという。

同センターの桑田雅子さんは、「この情報誌で、すぐにどういう効果がでるか、というより、情報誌の編集を通して、ボランティアに興味を持つきっかけになってくれれば、と考えた。ボランティアのすそ野を広げていきたい」と話している。 同情報誌の制作は、今後も継続的に行われる予定だという。

【戸田 照朗】

「自分探しの見本市」開催

第4回NPO・市民活動見本市「自分探しの見本市」(写真は松戸市提供)が、来月3日、午前10時から午後5時まで、まつど市民活動サポートセンターで行われる。51団体が参加予定。
1368・1814。

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ケニア、パレスチナの児童生徒を囲む新南小児童ら

▲ケニア、パレスチナの児童生徒を囲む新南小児童ら

 

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「もったいない」を世界に

ケニア、パレスチナ人児童生徒が新南小で交流

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松戸市が推奨する「もったいない運動」に積極的に取り組んでいる新松戸南小学校で15日、ケニアとパレスチナの子どもたちを迎えて、「世界にふれよう新南ハッピーデイズ〜『MOTTAINAI』みんなの心が世界を動かす〜」という、もったいないをテーマとした交流活動がおこなわれた。また同日、市民劇場では「もったいない運動推進市民会議発足式」が開かれ、川井敏久市長が2月15日を「もったいないの日」とする宣言などをした。

植林活動など環境に対する取り組みでノーベル平和賞を受賞し、「もったいない」という日本語を国際語にしようと世界各地で活動をおこなっているケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが同校に来校したのは昨年のこの日。ケニア、パレスチナの子どもたちを迎え、互いの活動を発表しあうことで「もったいない」について再認識する機会としたいと、この日の交流活動はおこなわれた。

来校したのは、ケニアとパレスチナの小中学生ら。体育館でおこなわれた集会では、ケニアの中学生、デービッドくんがゴミの再利用に積極的に取り組んでいること、 小学生のハリエットさんが地球環境の改善を訴える詩を朗読。パレスチナの中学生、エイマンくんは母国の伝統的な刺繍を手に、伝統と環境を守ることの必要性を訴えた。

一方、新松戸南小は、学校で取り組んでいるもったいない活動を発表。『もっ』と集めよう、『た』くさんの人に出会おう、『い』らないものも生かそう、『な』かまを増やそう、『い』ま自分に出来ること、などと『もったいない』のそれぞれの文字を頭文字に、実践している活動を紹介した。

この後、ケニア、パレスチナの子どもと同小児童は給食をともにし、縄跳びなどで交流を深め合った。また、ケニア、パレスチナの子どもたちは戸定邸を見学した後、「もったいない運動推進市民会議発足式」にも参加した。

なお、この日の同小での活動は、6年生の児童が中心となり計画されたもので、当日のゲストの到着から来賓の受付や案内などすべて、児童の手によっておこなわれた。

【竹中 景太】

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高橋慈乃さんが柏市長賞に

県小中高書き初め展

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社団法人書星会などの主催による「第59回千葉県小・中・高校書き初め展」の席書大会がこのほど、千葉県総合運動場体育館で開催され、常盤平第1小学校6年の高橋慈乃さん=写真=が見事、柏市長賞を受賞。高橋さんは、今年1月の第47回松戸市小中学校書初展では最高位の市長賞を受賞しており、ダブルでの受賞となった。

県展には今回、県内の小・中・高校より約15万点の作品が出品され、地区審査により選ばれた約400人により席書大会がおこなわれた。この中で、高橋さんは課題の「房総の海」を力強く書き上げ、柏市長賞を受賞した。

高橋さんは小学5年生の時から、日暮にある岩田書道教室に通い、書道に取り組んできた。きっかけとなったのは小3の時、書道で学校の代表に選ばれてうれしかったことと、「鉛筆の字をうまく書けるようになりたかった」から。今では「師範免許をとることが目標」という。ちなみに、県展の席書大会には4年連続で出場している。

同教室で指導にあたる岩田葉子さんは「メリハリがあって、すごくいいものを書く。まじめに書道に取り組んでいて、将来が楽しみ。席書大会を見に行きましたが、みんな緊張している中、すごく落ちついていて、とてもいい字を書いたと思います」と話す。

高橋さんは「上手に書けた時の達成感が気持ちいい。これからもずっと書道を続けていきたい」と話していた。

【竹中 景太】

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高橋慈乃さん▲高橋慈乃さん


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「松戸市協働のまちづくり条例」案

 議会上程見送りへ

今年4月からの施行を目指していた「松戸市協働のまちづくり条例」について、松戸市はこのほど、3月定例市議会への同条例案の提案を見送ることを発表した。

同条例をめぐっては、策定にかかわってきた委員らが、答申とはかけ離れた内容、などとして川井敏久市長に公開質問書を提出し、市側もその回答を公表していた。しかし、市側の回答に元委員らは「質問した内容に正面から答えていない。誠意のない回答である」とし、両者の溝は広がったままだった。

今回の見送りについて市は、議会への説明及び内部の検討作業の状況を総合的に判断した結果、などとしている。また、施行時期については「協働事業提案制度や市民活動助成制度など協働を推進する施策について、市民の方より早く進めてほしいとの声が寄せられていることからも、出来るだけ早い時期に条例の成立を目指していきたい」としている。

【竹中 景太】

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