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バックナンバータイトル667号

自転車の「原則」と「現実」

道路交通法が改正 より現実的に

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前号の「チューニング」で自転車の歩道通行について書いたところ、読者からお電話やお手紙で様々なご意見をいただいた。なかには、自転車通行可の区間の歩道を通っていたのに、「自転車は通ってはダメだ」と歩行者に注意された、などというものも。自転車に乗る人も歩行者も、自転車の通行について正確なところがよく分からない、というのが現状のように感じた。そこで、改めて自転車の通行について取材してみた。折しも、昨年6月に道路交通法が改正になり、今年6月19日までに自転車の通行についての規定が一部改正されることになっている。

【戸田 照朗】

市内にある自転車が通行できる歩道

▲市内にある自転車が通行できる歩道

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原 則

まず、基本中の基本から(カッコ内は罰則)。

・自転車は車道が原則で歩道は例外。道交法上、自転車は軽車両となる(3か月以下の懲役または5万円以下の罰金)。

・車道は、自動車と同じように左側を通行し、左端に寄って通行する(同)。

・自転車は、公安委員会が定めた区間の歩道を通行できるが、その場合も歩行者優先で、車道寄りを徐行する。すぐに停止できる速度で、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止しなければならない(2万円以下の罰金または科料)。

・飲酒運転禁止(酒に酔った状態で運転した場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金)

・幼児用座席を取り付けて6歳未満の子どもを1人乗せるなどの場合を除き、2人乗りの禁止(2万円以下の罰金または科料)。

・「並進可」の標識のある場所以外では、並行して走ってはいけない(同)。

・夜間はライトを点灯(5万円以下の罰金)。

・信号を守る。「歩行者用・自転車専用」信号機のある場合は、その信号に従う(3か月以下の懲役または5万円以下の罰金)。

・一時停止の標識を守り、狭い道から広い道に出るときは徐行。安全確認をする(同)。

・罰則はないが、児童・幼児の保護責任者は、児童・幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるようにする。

・法律上の禁止事項ではないが、運転中の携帯電話の使用や、傘をさしての運転はしないようにする。

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現 実

ここまで、読んできて「そうは言ってもなあ」と思われる方もいるだろう。現実の道路事情を考えると、難しい場面が出てくる。

車道左寄りを走らなくてはならないと言っても、駐車車両があると、必然的に道路中央付近を通らざるをえない場合が出てくる。対向車や後続の自動車がスピードを出しているときには、かなり恐い思いをする。

それでも、「歩道通行可」の歩道は限られる。松戸市の市道の総延長は約107万8105m(昨年3月現在)だが、そのうち自転車が通ることができる歩道があるのは4万6205m。わずか4%だ。市内を通る県道の総延長は5万6493mで、16%が自転車が通ることができる歩道(9430m)。市内を通る国道(6号、298号、464号)の総延長は約1万6000mで、約60%が自転車が通ることができる歩道(1万195m)だ。6号と298号線は、ほぼ全線に自転車通行可の歩道があるので、国道のポイントは市道、県道に比べて高い。

法律の規定を知ってか知らずか、自転車通行可の標識がない歩道でも歩道を走っている人は多い。現実的には、そのほうが安全に走行することができる場合があるのも事実だ。

この「現実」に合わせるように、昨年6月に道路交通法が改正され、今年6月19日までに施行される。

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スペース 歩道通行を認める標識

▲歩道通行を認める標識

新しい規定では、今までの道路標識等で指定された歩道に加えて、「車道または交通の状況からみてやむを得ない場合」は標識がない歩道でも自転車が通行できるようになる。また、運転者が児童・幼児等の場合はどの歩道も通行できることになった。ただし、警察官や交通巡視員が、歩行者の安全を確保するために必要があると認めて指示したときは、歩道を自転車に乗って通行してはいけない。

児童・幼児(13歳未満)を保護する責任のある人はヘルメットをかぶらせるように努めなくてはならない。

一方で、歩行者も「普通自転車通行指定部分」をできるだけ避けて通行する努力義務も付け加えられたが、「普通自転車通行指定部分」のある歩道が市内にはないので、市内を歩く場合は、さしあたり関係ないだろう。

これからは、自転車に乗っていて危険と判断すれば、基本的にどの歩道を通っても合法という、いわば現状に則した形になるわけだ。が、一方で「原則」のところで書いた規則は厳然と生きているわけで、歩道では歩行者優先という大前提を忘れずに自転車に乗りたい。

また、6歳未満の子どもを1人乗せて走ることは認められているが、子どもを自転車の前後に1人ずつ乗せて「3人乗り」するのは認められていない。しかし、現実に複数の小さな子どもを持つお母さんは、「3人乗り」が厳密に禁止されると、かなり困ったことになるといった声を聞いた。

報道によると、警察庁が改めて乗車する幼児は1人までという原則の徹底を図る方針を示したところ、若い母親を中心に反発する声が相次いだという。同庁は、「交通の方法に関する教則」(国家公安委員会告示)を30年ぶりに見直すことを決めているが、自転車メーカーに呼びかけ、3人乗りでも安全な自転車を開発することを前提に「3人乗り」を許容する方向で検討に入ったという。

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「松戸マイスター」決まる

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今年度の松戸市技能功労者・特別技能功労者がこのほど決まり、先月、表彰式と祝賀会が松戸商工会館で開催された。従来は各技能関係団体からの推薦により技能功労者を表彰してきたが、今年で5回目の表彰式になることから、さらに卓越した技能者を表彰する「特別技能功労者(松戸マイスター)表彰制度」が新設され、牧野能子(よしこ)さん(74・洋裁)と高橋工(たくみ)さん(62・理容)の2人の松戸マイスターが誕生した。なお、技能功労者としては27人が表彰された。

【竹中 景太】

長年多くの生徒に洋裁を教えてきた牧野能子さん

▲長年多くの生徒に洋裁を教えてきた牧野能子さん

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洋裁教室を主宰

牧野 能子さん

南花島で洋裁教室を開いている牧野能子さんは、東京都出身。中学卒業後、服飾の専門学校に2年通い、銀行勤務、結婚を経て、親族の経営する都内の洋服店で洋裁に取り組むことになる。

「叔父から手伝いに来てくれ、と言われたので始めました。それまでも家で自分のものや子どもの服は作っていましたし、学校では製図から裁断、縫う作業まで一通り習っていたので、難しいことはなかった。子どもの頃から、母の着物をほどいて妹の服を作ったりもしていたので、嫌いじゃなかったんですね」

10年ほど店の手伝いをこなし、それからは南花島の自宅で教室を開いた。その間、洋裁学校の講師などもつとめた。洋裁の専門雑誌に社団法人日本洋装協会の会員募集を見つけて入会してからは、コンクールにも積極的に出場するようになり、昭和57年には全日本洋装技術コンクールで労働大臣賞を受賞。当時、ドレスでの入賞が多い中、ワンピースでの受賞を果たした。その他、経済企画庁長官賞など数々の賞を受賞してきた。

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「以前は結婚して間もない方など若い生徒さんもいましたが、今は既製服も多く扱われていて、自分で縫う方は少なくなりました。私などは既製服では身体にあわず、疲れてしまうんです。自分で縫うのは手間はかかりますが、ピタッと身体にあう。すごい楽ですよ」

牧野さんは洋裁のほかにも、発明家としての顔もある。きっかけは、甥っ子が家に遊びに来た時、飲み物をこぼしたことからひらめいた。お母さんが赤ちゃんに飲み物を与える際、上から見た時にコップの中が見えない。だからこぼしてしまう。それならコップの飲み口の反対側を削って、上から見えるようにすればこぼさなくてすむのではないか。紙コップで試してみると、うまくいった。この発明は市の発明相談でも認められ、相談員の勧めで特許を申請。昭和53年、「赤ちゃん湯のみ」として特許を取得した。それからも「犬のふん取り器」や「洗濯用網袋」なども発明した。

「発明家協会の展示などに出展して、なかなか評判がいいものもあったんですよ。洗濯用網袋はネットの中に薄い生地をひき、ゴミが中に入らないようにした商品ですが、今でもどこで売っていますか、販売はしていないのですかと電話があるんです。商売としてやろうと思っていたわけではないので、今は作っておらず、お断りしているんです」

そんな牧野さんも、昨年、息子さんが亡くなられてからは発明をやめ、教室も休みをとっていた。そうした時、生徒さんから「いつまで休んでいるのよ。(教室を)始めた方が気がまぎれるわよ」と言われ、教室を再開させた。

「みんなに支えられてここまで来た、いい友だち・仲間に恵まれた。この時ほど、そう感じたことはありませんでした。今回の松戸マイスターの受賞も、そうしたみなさんに支えてもらってきたからこそ頂けたと思っています」

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理容店経営

高橋 工さん

稔台で理容店を営む高橋工さんは、この道46年。山形県出身で、中学卒業とともに上京。兄からの「お前は身体が小さいから何か手に職をもった方がいい」という助言で、同郷の先輩の紹介により北千住の理容店に弟子入りした。北千住の理容店では13年間、修行を積んだ。

「最初はとまどいました。教えてもらうのではなく、見ておぼえなければいけない。コツコツ地道に練習しておぼえました。上が美容室で若い女の子がいたので、頼んで顔そりの練習のモデルになってもらったりしたので、練習環境には恵まれていました」

北千住の店のマスター(店長)が数々の理容競技大会で賞を受賞していたこともあり、高橋さんにも「見習いなんだから出てみなさい。負けてもいいんだから」と大会への出場を勧めてきた。

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スペース 数々の賞も受賞した高橋工さん

▲数々の賞も受賞した高橋工さん

「最初は大会に出るのがイヤでした。マスターはいろんな賞をもらっていましたけど、負けた時はすごくイヤな顔をしていて、それなら出なければいいじゃないかと思っていたんです」

初めての大会は、高橋さんも含めて8人が出場。高橋さん以外はインターンで、見習いは自分一人。それでも5位に入った。「やればできる。競技大会もおもしろい」。それから積極的に大会にも出場するようになり、昭和48年、27歳の時に東京大会で優勝。独立して稔台に「メンズヘアーサロン・タクミ」をかまえた後、62年には、7度目となる全国大会の出場で見事優勝を果たした。当時、千葉県で優勝したのは高橋さんで2人目だったという。「びっくりしましたね。昼飯から戻ると、県(千葉県理容生活衛生同業組合)の理事長が来て、優勝したよ、と言われたんです」

それからは競技大会では審査員をつとめ、職業訓練指導員として昭和55年に開校した松戸理容教栄会(職業訓練校)では初代校長として教え子を関東甲信越大会優勝、全国大会出場に導くなど、後進への指導育成にも力を注いできた。

「これまで200人以上の生徒を指導してきたが、やはりいい結果を残してくれたらうれしい。センスが一番大事かな。でも技術だけではダメ、接客が大事。今でも北千住時代の常連が来てくれるのですが、来るたびに文句を言う。注文も多い。でも、また来てくれる。うれしいですよね」

熱狂的な巨人ファンで、店が休みの火曜日に東京ドームで試合がある時にはよく足を運ぶという。カラオケも大好き。

今回の松戸マイスター受賞については「オレで良かったのかな、と今でも思っています。市内にはいろんな業種があって、すごい技術をもった人がたくさんいる。正直、気が重いですね。でも、もらった以上、これまで以上に後進の指導などにもあたっていきたい」と笑顔で話してくれた。

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道路案地図 スペース

都市計画道路3・3・7号線

関さんの道路案を却下

市 着工に向け予算案を上程

 

幸谷の「関さんの森」に隣接する子どもの遊び場と関邸の庭、梅林を通る都市計画道路3・3・7号線(幸谷区間)の問題で、地権者の関美智子さん、啓子さん姉妹が昨年11月に市に提案した「代替道路案」について、市は「受け入れることは出来ない」との回答を関さん側に伝えた。

その要旨は、「代替道路案」では、4か所のクランクができ、新たな渋滞を発生させる。8mの道路幅員では歩行者や自転車の通行する十分な幅員が確保できないため、車道を通ることになり事故を発生させる懸念がある。都市計画道路としての機能が果たせないばかりか、前後の道路との連続性が図れない、などというもの。

市は昨年2月に市が提案した「暫定道路案」を関さんが受け入れなかったことを受けて、これを廃案にし、10月に都市計画道路本線で国に補助金(まちづくり交付金)の交付申請を行っている。補助金は総事業費の40%。市の負担は残りの60%だが、そのうち75%は起債にできるため、市の当面の負担は約7〜8億円になる見通しだという。

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市によると、二ツ木・幸谷区画整理組合や地元町会、住民からも早期貫通への強い要望が出ているという。また、昨年の市議会12月定例会では、議員提出議案として「松戸都市計画道路3・3・7号横須賀紙敷線の早期開通に関する決議」が賛成多数で可決された。

市は現在開会中の市議会3月定例会に「3・3・7号線街路整備業務(幸谷・二ツ木)」として約3000万円を予算案として上程している。これは、道路建設に向けての調査や整備などに使われるという。

なお、弊紙のこれまでの報道で『「関さんの森」を分断する道路計画』などの表現が誤解を招くとの指摘が市の担当者からあった。

「関さんの森」は7埼玉県生態系保護協会に関さんが寄付した部分で、道路が通るのは子どもの遊び場と関邸の庭、梅林(3か所とも地権者は関さん)で、「関さんの森」を分断するわけではない。所有者も違う、というのがその趣旨だった。

関邸の庭や梅林は、「関さんの森」とともに環境学習の場として地元の小中高生などに活用されてきたことを、記者はこれまでの取材から理解している。また、所有者が違っても緑としては一体であることから『「関さんの森」を分断』と表現したが、今後はより正確に書くように心がけたい。

なお、関さんは「関さんの森」と子どもの遊び場、関邸、梅林を一体の緑と考えており、この点でも市とは見解が異なる。

今後、双方が折り合わず、市が県の収用委員会に申請し、通れば、「強制収用」ということになる。

【戸田 照朗】

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