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バックナンバータイトル670号

学校跡地利用案

住民、議会の同意得られず

市 新年度予算案計上を断念

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市の説明を受ける旧新松戸北小跡の有効利用を考える会

▲市の説明を受ける旧新松戸北小跡の有効利用を考える会

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昨秋、市が発表した旧古ヶ崎南小、旧根木内東小、旧新松戸北小、新松戸北中の跡地利用案について、議会や地元住民の理解が得られず、市は川井市長 議会に人事案を提案せず先月の市議会に予算を計上できなかった。市議会には「学校跡地検討協議会」ができ、各校の視察などを実施。売却案が提示された新松戸地区では住民対象の説明会も行われている。

【戸田 照朗】

平成15年9月に明らかになった小中学校の統廃合計画は、地元住民や保護者の反発も強く、混乱をきたしたが、翌年の9月議会では議員の賛成多数で「廃校条例案」が可決し、17年3月に小学校3校が廃校となった(新松戸北中は休校している小金中の改修工事を待って、21年3月に廃校になる)。

この経緯からみると跡地利用案に対する新松戸地区での住民の反発は予想できたとしても、議会までも賛同せず、予算が計上できないというのは「異例」とも映る。

根木内、古ヶ崎では大きな動きはないが、新松戸では自治会や町会主催の説明会なども行われている。また、住民有志が早くから「旧新松戸北小跡の有効利用を考える会」を立ち上げて、有効利用に向けてのアンケートを実施。懇談会を続けてきた。

地元では「新松戸には公共施設が少ない。学校跡地は市の貴重な財産として売却すべきでない」「災害時の緊急避難場所として残すべき」などといった声が出ているという。

また、市議会では「学校跡地検討協議会」が、昨年12月にできた。各会派の代表十数人が定期的に会合を重ね、各学校の視察なども行った。

協議会に参加しているある議員に話を聞いたところ、旧根木内東小と旧古ヶ崎南小跡地について先に検討にはいり、新松戸の2校についてはその後、時間をかけてじっくり検討したい、という。

旧根木内東小は公文書庫になるというが、学校全体が必要なのか。周辺で宅地化が進んでいるが「市街化調整地域」の再考は出来ないか、などの疑問が出ている。また、旧古ヶ崎南小は市教委の庁舎になるというが、来庁者の不便にならないか。現在、市教委が入っている京葉ガスビルの家賃を浮かせる目的ならば、将来本庁舎の耐震改修をした時に、容積が増えることが予想され、その増えた分で市教委のスペースを確保できないか。市に試算を依頼しているところだという。

また、新松戸の2校については、地域コミュニティの中心に立地し、条件が良いだけに戦略的な活用が必要。「売却処分」は知恵がなさすぎる。市の案は「保有」と「処分」のみで「運用」という観点が欠落している。「運用」という観点から改めて検討し、市民に説明してほしい、という。

市では、議会の動向を受けて、旧根木内東小と旧古ヶ崎南小の2校について予算の計上を検討していたが、途中で断念した。

また、3月定例市議会では数人の議員が学校跡地問題で質問に立った。

議員からの質問に対し、市は「新松戸の避難場所は十分に確保できる」「学校跡地利用案はたたき台」などと答弁した。また、国庫補助金の返還等の諸経費を差し引いた新松戸地区2校の売却益は、新松戸北小が約9億円、新松戸北中の校庭部分が約6億円という試算を明らかにした。売却益は懸案となっている小中学校の「耐震化施策」などに還元していきたいという。

市の跡地利用案

旧古ヶ崎南小校舎には教育委員会が現在の京葉ガスビルから、21年度までに移転する。その中に、地域集会施設、適応指導教室と教員研修施設、教育情報センターを含む。校庭部分は地域のスポーツなどへの暫定利用を続け、プールは解体する。旧根木内東小校舎は公文書庫、すぐやる課詰所として利用する。来年度開設予定。校庭部分は地域のスポーツなどへの暫定利用を続ける。旧新松戸北小は校舎、校庭ともに全面売却。新松戸北中は、現在は休校している小金中の改修工事の完成を待って、21年3月に廃校予定だが、校舎部分は図書館新松戸分館を移転し、コミュニティ図書館として整備する。また、子育て支援施設、福祉施設、ボランティア会議室、美術展示室、食育の拠点、集会施設などとして使われる。校庭部分は売却。

旧古ヶ崎南小は第1種住居地域、旧根木内東小は市街化調整区域、旧新松戸北小と新松戸北中は第1種中高層住居専用地域。

跡地を学校や市庁舎、福祉施設など以外の用途に転用する場合の各学校の補助金返還額は、平成19年3月31日現在、土地・建物などで旧古ヶ崎南小が約3億7457万円、旧根木内東小が約3億296万円、旧新松戸北小が4億587万円、新松戸北中が7億699万円。旧古ヶ崎南小と旧根木内東小は引き続き市の施設として使われるため問題がないかもしれないが、旧新松戸北小と新松戸北中の校庭は売却となるため、補助金を返す必要が出てくる。

各学校の起債(借金)残額は旧古ヶ崎南小は約15億6700万円で32年までに償還予定。旧根木内東小は約591万円で今年までに償還予定。旧新松戸北小は約2962万円で21年までに償還予定。新松戸北中は約5729万円で24年までに償還予定。

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江戸川で稚アユ救出作戦

水閘門開け 溯上を助ける

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ボートで水閘門を往復し、アユの溯上を助ける

▲ボートで水閘門を往復し、アユの溯上を助ける

 

アユの溯上(そじょう)の妨げとなっている江戸川水閘門を開けるためのイベント「江戸川稚アユ救出作戦」(江戸川・利根川流域ネットワーク主催)が12日、開催された。

江戸川の河口には江戸川放水路があり、洪水でもなければ開かず、ほとんど閉まっている状態。旧江戸川にある江戸川水閘門も川の水位が上がらないと開けず、魚道(魚を溯上させるために作られた水路)もない。

イベントでは子どもたちを乗せたボートが、水閘門を3度往復し、水閘門を開けさせた。地元の江戸川区と市川市も協力し、スタッフとして数人の職員を派遣した。この日の参加者は280人。スタッフ30人を加えると、総勢300人ほどの大きなイベントとなった。

この救出イベントは今年で4回目。1回目は、稚アユを入れたバケツをリレーして救出したが、それでは効率が悪い、ということで、ボートを使って門を開けるイベントにかえたという。

同ネットワークに参加している「江戸川の自然環境を考える会」の田中利勝さんは、「今年は雨が多く、江戸川水閘門が開いていることも多いのですが、稚アユの数が少ないのが残念。昨年はボートの上からもよく見えたのですが、子どもたちも少ないと話していました。昨年多かったことの反動なのか、水が濁っているせいなのか、原因はわかりません」と話していた。

無事、江戸川水閘門を通過した稚アユたちは、江戸川をのぼり、やがて利根川に入る。しかし、利根大堰(とねおおぜき)で再び行く手をはばまれる。この堰には魚道があるが、この堰を越えられず、別の支流に入ったり、堰の周辺に止まり続ける稚アユも少なくない、という。

【戸田 照朗】

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副市長不在の「なぜ」

川井市長 議会に人事案を提案せず

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先月末に閉会した市議会3月定例会の最終日、すべての議事が終了した後、任期満了に伴い3月末で退任した宇田川正副市長の辞任のあいさつがあった。本来ならば、この最終日に新副市長の人事案件が議会にはかられるが、その提案すらなされなかった。後任は……、未だ不在の状態が続いている。川井敏久市長は「後任の副市長については、今議会には議案提出を見送りましたので、空席となります」旨のコメントを出し、その事務については市長が兼任しておこなうとしている。川井市政が誕生した14年前、議会の賛同が得られず助役(現在の副市長)がしばらく空席となったことがあるが、副市長不在はそれ以来初めて。なぜ、新副市長を提案せず不在という状況になったのか、関係者に話を聞いた。

【竹中 景太】

川井市長は市議会3月定例会の開会前、内々に保守系会派に新しい副市長を打診した。しかし、どの会派も出した答えは「NO」。そのため、市長は3月定例会への新副市長提案を見送った――。関係者の話をまとめると、こういったいきさつがあったようだ。

しかも、市長が提案したかった人物は以前にも、副市長候補として保守系会派に打診されたが断られた経緯があるという。つまり、「NO」を突きつけられたのは今回で2度目になる。

なぜ議会は市長提案の副市長を承認しないのか。ある関係者は「う〜ん、わたし個人は知らないが、どうやら役所内で派閥を作るなどしていて、あまりいい印象を持たれていないみたい。1つの会派だけでなく、どの会派もむずかしい、という意見だったから」。また、別の関係者は「特定の市議とつながっていて、その人物を副市長にすると、その議員の権限が強くなる。それを嫌って反対しているという話もある」という。

一方、市長は、議会に一度断られたのになぜ同じ人物を今回も打診したのか。また各紙の報道によると、市長は同じ人物を6月定例会に提案したい意向を持っていると報じられている。市長がこの人物に固執する訳は何なのか。「仕事ができてこれまで頼ってきた。この人しかいない、と思っているみたい」、「宇田川さんの後継者となると、今の役所内ではこの人しかいないのでは。職員を統率する力はあると思うし、職員にそんなに嫌われている印象はない」という声が聞かれた。

「議会と市長が対立」。今回の事態をこう見る向きもある。市政で問題となっている市立病院の建て替え、学校統廃合による廃校4校の跡地利用などでも、議会が市長提案にすぐ賛成せず、委員会や協議会で協議しているからだ。ただ、この点について、ある関係者は「それはない。市長と保守系会派も以前と変わらぬ良好な関係にある。それぞれ大きい問題で、学校跡地では地域住民の納得が得られていない部分がある。だから協議会を設置して協議している」という。

いずれにしても、副市長というポストがあるのに不在というのは、あまり健全な状態とは言えない。5月末から始まる市議会6月定例会で何らかの動きがあると思われるが、市長が折れるのか、議会が折れるのか、未だ不透明な状況が続いている。

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戸定が丘歴史公園で藤まつり

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戸定が丘歴史公園で藤まつり

▲鉢植えの藤40鉢が園内に展示されている

 

国の重要文化財に指定されている戸定邸などがある戸定が丘歴史公園で、「藤まつり」が来月11日まで開催されている。

白、紫、ピンクの鉢植えの藤が40鉢、園内に展示され、甘い香りを漂わせている。現在はつぼみも多いが、ゴールデン・ウィークごろには開花し、見頃になるという。

お問い合わせは、1362・2050戸定歴史館まで。

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就職活動情報を提供

「ジョブサポートまつど」オープン

松戸市は23日、若者向け個別就職カウンセリング窓口「ジョブサポートまつど」を市勤労会館内にオープンした。毎月第2土曜と第4水曜の午後3時から7時まで、1日4人の定員で各種相談などに応じる。

「ジョブサポートまつど」は、就職を希望する若者が早期に就職できるように、キャリアカウンセラーとの個別相談に加え、就職活動のノウハウや就職活動情報を提供する窓口。ただし、相談は就職活動を支援するもので、求人案内や職業あっせんはおこなわれない。

市ではこれまでにも、同様の事業をおこなってきているが、月2回ながら常設の窓口を設置したのは今回が初めてとなる。これまでの事業では、大学卒業後就職できない人や、一度就職して挫折経験のある人、また就職に悩む若者の保護者からの相談などが多いという。

対象は、15歳以上おおむね35歳までの就職に悩む若者とその保護者。費用は無料で、1人50分の予約制となっている。

問い合わせは、1366・7327市商工観光課まで。

【竹中 景太】

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廃食用油回収始まる

バイオマス燃料実用化へモデル事業

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竹ヶ花西町の回収拠点に廃食用油を持ち寄る人たち

▲竹ヶ花西町の回収拠点に廃食用油を持ち寄る人たち

 

市の「廃食用油を活用したバイオマス燃料事業」(略称・BDF事業)の「社会実験」(廃食用油回収モデル事業)が23日、竹ヶ花西町で始まった。毎月第4水曜日に4か所の回収拠点を設け、廃食用油を回収する。対象は500世帯。この日は42人がペットボトルなどに入れた廃食用油を持ち寄り、45リットルが回収された。同町の回収状況から反省点などを検討し、徐々に市全域に広げていきたいという。

同事業は市内の家庭や事業所から排出される「使用済みの天ぷら油」を回収し、バイオマス燃料として製造、市内産業に活用していく、というもの。

バイオマス燃料(BDF=バイオディーゼル燃料)とは、家庭などから排出される「てんぷら油(植物油)」等をディーゼルエンジンに使用できるように加工したもの。二酸化炭素を吸収し、光合成によって酸素を排出する植物由来なので、二酸化炭素を増やさないエネルギーのリサイクル法として注目されている。

異業種交流グループ「松戸テクノプラザ」(的場研二会長)を中心に、産学官の連携を目指して、研究が進められてきた。社会実験では、町会や自治会単位で廃食用油を拠点回収し、副会長の大久保敏行さん(ハリマ産業(株)代表取締役・69)が開発したプラントでBDFを製造し、市のゴミ回収車などの燃料として使う。

市商工観光課では昨年度、廃食用油の排出量をさぐるためにアンケート調査を実施。年間に一般家庭からは約57万3000リットル、事業所(工場等)からは約67万7000リットル、合わせて約125万リットルの廃食用油が排出されるだろうと推計している。

ただ、実際にどの程度の廃食用油が回収できるのかは未知数。今回の社会実験で見通しをつけたい考えだ。回収拠点の一つ、松川産業(株)倉庫前に廃食用油を持ってきた住民は「子どもさんがいて、唐揚げや天ぷらをよく作る家庭は油を使うでしょうが、年輩者の世帯ではあまり油がたまらないかもしれない」「昔は、ものすごく油が汚れるくらいまで、2〜3回は使っていました。最近は1度しか使わない人も多くて、燃料として再利用するには汚れが少なくていいかもしれません」などと話していた。

また、事業所については、松戸テクノプラザの会員企業から始め、徐々に協力してくれる企業を増やしていきたい、という。事業所の場合は、事業所で出した廃食用油を事業所のトラックなどで使うという「自己完結型」が理想。ただ、廃食用油を多く出す事業所のBDFを、別の事業所に買ってもらい、運送などの業務で使ってもらうということも考えられる。

BDFは少量の軽油を混ぜるとさらに良い燃料となるが、軽油を混ぜると税金の問題も出てくる。今後の課題だ。

【戸田 照朗】

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国境なきこどもたち写真展

▲©谷本美加

 

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国境なきこどもたち写真展

イラク避難民家族の物語

 

国境なき子どもたち写真展2008「イラク避難民家族の物語〜ヨルダンで願う平和〜」が、5月7日から14日まで、新宿のアイデムフォトギャラリー「シリウス」(アイデム本社ビル2階。地下鉄丸の内線新宿御苑前駅そば)で開催される。

2003年3月19日、イラクに最初の空爆がおこなわれてから、はや5年の月日が経過した。「イラクの自由作戦」と命名された戦禍の中で、国外へ避難したイラク人の数は200万人を超えるといわれている。中でも隣国ヨルダンにおける避難民は約75万人とされているが、多くの人々が難民と認められておらず正確な数は把握されていない。また、避難生活の様子が伝えられることは少ない。

同展では、写真家・谷本美加さんが写した、イラク避難民の姿や、彼らが抱く母国での戦禍の記憶と美しい思い出、ヨルダンでの避難生活がもたらす安堵と苦悩、そして将来への希望と不安が交錯する家族の物語が紹介される。

入場無料。日曜休館。午前10時から午後6時(最終日は午後3時)まで。問い合わせは、1 03・6279・1126国境なき子どもたちまで。

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