東葛の寺社めぐり(5)
我孫子の神社・仏閣を訪ねる旅
我孫子市は柏市と茨城県取手市の間にあり、面積は272・08平方キロ、人口は13万6千人(2月1日現在)。利根川と手賀沼にはさまれて、細長い形をしている。寺社は約50か所が市内に点在していた。
【戸田 照朗】
文士が愛した手賀沼のほとり
手賀沼周辺は、大正時代に志賀直哉、武者小路実篤などの白樺派の文士や文化人が多く移り住み、その美しい自然を愛した場所として知られている。志賀や武者小路の邸宅跡、白樺文学館などもある。鳥類の研究で有名な山階鳥類研究所や鳥の博物館もあり、沼のほとりは絶好の散策コースだ。
沼に沿うように緑の台地がつらなっており、崖からは清水が湧きだしている。緑地に沿った道ぞいに水飲み場のような場所があり、人間が飲んでも大丈夫なのかは分からないが、犬用のバケツが置いてあるのが面白かった。
さて、寺社はというと点在していて、それほど多いという印象は受けない。水害に遭うことが多かったのだろうか、水神社がいくつかあった。
滝前不動尊の境内入口右手には、小さな滝があった。龍の石像の口から水が流れ落ちている。これも湧き水なのだろうか。芭蕉の句碑もある。境内は見事な竹林に囲まれ、趣がある。裏山の竹林には稲荷神社の小さな祠があった。
湖北台駅の近くにある正泉寺。ここは台地の上になるが、木々に囲まれた参道を進むと、山門があり、その奥に境内が広がる。子育て地蔵の美しい仏像が目をひいた。
また、日秀(ひびり)には将門神社がある。小さな石祠だが、940年(天慶3)に戦没した平将門が祀られている。国道356号線沿いの観音寺にある首曲地蔵にも将門に関する伝承がある。将門調伏(ちょうぶく)を祈願した成田不動尊を嫌い、成田に顔を背けた姿だという。
市内には戦いの神でもある八幡神社が多い。これも将門と関係しているのだろうか。
新木にある葺不合(ふきあえず)神社。もと厳島神社(沖田弁天)があった場所で、1908年(明治41)に葺不合神社と合祀された。この神社の参道が面白い。国道から急な階段を下りて、平地になり、さらに階段を上って社殿に着く。つまり、長い参道の間に谷がひとつ入っていて、参道入口と社殿は向かい合った台地の上にそれぞれある、という形なのだ。本殿は拝殿より一段高いところにあり、ここも階段でつながれているのが面白い。周辺は深い森。本殿の裏は農地が広がる。境内の台地には摂社・末社が点在していた。
参道にも趣が
中峠(なかびょう)の足尾山神社の参道も趣があった。こちらは竹林に囲まれた参道である。細い参道を行くと、小さな社殿がある。その社殿の壁には草鞋(わらじ)や靴、松葉杖などがかけられていた。足の病気に御利益があるとのことで、病が治癒すると、履き物を奉納する習わしがあるという。
神社の境内は古利根沼のほとりの台地の上にある。利根川沿いの低地には田園が広がる。近くの稲荷神社は杉林の中にあり、こちらも趣があった。
印西市との境にある布佐は、江戸時代に栄えた「鮮魚(なま)街道」の起点だ。銚子から利根川へ高瀬舟で運ばれた鮮魚は、布佐からは馬で松戸まで運ばれ、再び船で江戸川を下り、日本橋まで運ばれた。布佐には水運で栄えた往時の姿がどことなく残る。鮮魚街道は布佐観音堂の裏道から始まる。勝蔵院の瓦屋根が美しかった。
国道6号線沿いの青山というところに無量院というお寺がある。ここに並ぶ石仏のうち2体が木の根本に寄り添うように、根に挟み込まれるように立っていた。後から置いたのか、それとも木の成長とともにこのような形になったのだろうか。
同じく国道6号線の、我孫子警察署隣の駐車場に、稲荷神社の小さな祠がある。大木が作った洞穴の中に鎮座しているように見えて、最初は気がつかなかった。若木が植えられた時は、祠が道沿いに見えていたのだろう。やがて大木となり、すっかり祠を隠してしまった。いったい、いつからの話なのか、気が遠くなる思いだ。
亀に鷲。面白い眷属
今回の旅では、面白い眷属(けんぞく=神に仕える動物)に出会った。たいていの神社には、狛犬が社殿前両脇にいる。稲荷神社は狐だ。浅間神社では猿だったりする。
国道6号線の柏市から我孫子市に入ってすぐにある北星神社には亀が鎮座していた。まるで狛犬のように、阿(あ)・吽(うん)の形をとり、一方は口をパックリと開け、一方は口をぐっと閉めている。なんだか、かわいらしい。亀の石像は柴崎の柴崎神社にもあった。
北星神社は、中世にこの地を領有していた相馬・千葉氏が信仰した妙見信仰の神社で、北斗七星を崇めている。
久寺家(くじけ)の中央学院大学の近くにある鷲神社には、社殿の前に2羽の鷲の石像が鎮座していた。こちらは、躍動感と迫力満点。岩をわしづかみにする爪の造形がすごい。阿・吽の形はとらず、どちらもくちばしが開いている。
両神社の石像は最近になって奉納されたもののようだ。境内には従来の狛犬もあった。
※参考文献=「あびこガイドまっぷ」(我孫子市)
6度目の全国挑戦
小金北ソフトボールクラブ
「小金北ソフトボールクラブ」(以下、小金北SBC)が、このほど行われた全国規模のソフトボール大会の県予選で準優勝を果たし、3月27日から三重県で開かれる全国大会への切符を手にした。全国大会には2008年の夏の大会から連続出場を果たしており、今回で6度目の挑戦となる。
小金北SBCは、小金北地区にある9つのソフトボールチームから小学生有志が集まり結成。現在のメンバーは、小学4・5年生14人。結成当時から監督をつとめる赤井清監督(73)は、今年のチームを「ピッチャーを中心とした守りのチーム」という。
初回に点を取って守り抜く、のが必勝パターンだが、昨年11月の県予選決勝では同点で延長戦に入り、勝ち越されて1−2で惜敗した。この悔しさをバネに全国大会での雪辱を期す。
連続6度目の出場となる全国大会でのこれまでのベストは、昨年春の大会でのベスト16。赤井監督は「全国のレベル、雰囲気はわかっています。ただ、連続出場といっても毎年メンバーは違うので、まずは初戦突破が目標」と話す。
主将でピッチャーをつとめる、大藪和起くんは「今年のチームはみんな粘り強い。昨年の大会がベスト16だったから、目標はベスト8」と、監督より一段高い目標を掲げて全国大会に挑む。
【竹中 景太】
自分の思い 込めて
人形作家 内田陽さん
今秋、伊勢丹松戸展で開催される「日本伝統工芸展松戸在住作家展」(9月28日〜10月4日)。同展に出品する作家を紹介する「伝統工芸作家の肖像」。2回目は、人形作家の内田陽さんです。
【竹中 景太】
日本工芸会研究会員・内田陽氏。山口県光市生まれ、64歳。
20歳の時、新聞の記事(写真)に出ていた人形に魅せられ、モノを作ることが元来好きだったこともあり、「こんな夢のある作品を自分でも作りたいなあ」と、人形作家の道へ。現在を含め、3人の先生のもとで基礎から学んだ。会社勤めをしながらの創作活動で、どうしても仕事を優先しなければならなかったが、この3人の先生との出会いがあったからこそ、これまで人形への取り組みを続けてこられたという。
「こわくて厳しい先生でしたが、人間的にすばらしく、人形自体にもほれ、先生にもほれました」
人形作りは下絵から始まり、粘土で人形の見本を作る「油土(ゆど)」、人形の元となる木を彫る作業、その上に和紙を貼り、上塗り、磨きの作業など、こなしていく作業は多岐にわたり、1体を作るのに最低1か月以上はかかる。それだけに最初は覚えることも多く、途中で挫折する人も少なくないという。
それでも、人形作りに携わっていくうちに、人形作りをしているだけで楽しい、イヤなことも忘れられる、と自身の生きがいになっていき、どんどん人形に魅了されていった。
「人形作りはまず、何を作りたいか、何を人形に盛りたいか、ということを考えることから始めます。そして、自分の思いを人形にどこまで込められるか。どの作業も大事ですが、表情をあらわす(描く)ことが特に難しい。でも、顔描きまでいくと、その顔を胴体に組み立てる時はワクワクしますね。この瞬間がすごくうれしいんです」
定年を前に仕事を辞め、人形作りに本格的に取り組んだ。人形と向き合える時間が長くなり、公募展への出品にも積極的に取り組んだ。1993年に日本伝統工芸人形部会展に初入選、2009年には日本伝統工芸新作展への入選も果たした。
「細く、長く、自然体で取り組んできました。人形を続けられるように生活してきたけれど、今はそれに打ち込める環境になりました。これからも公募展への出品は続けていきますが、あくまで目標は自分の思いを込められた作品を作ることですね」
今秋開催の「日本伝統工芸展松戸在住作家展」へは、「伝統工芸とは言いつつも新しいものを感じさせる」作品を出品したいという。内田さんの思いが込められた、伝統と新しいものを融合させた作品が今から楽しみだ。
松戸で昭和を満喫
昭和をめぐるバスツアー
松戸よみうり主催の「昭和をめぐるバスツアー」が12日行われた。首都圏は前日から大雪の予報で、天気が心配されたが、当日は積雪もなく、30人が市民劇場前に集合。料金3500円と引き替えに、手製のバスのキップ(ダガシヤダイチャン製作)を手渡され、バスガイド姿に身を包んだ石上瑠美子さん(松戸シティガイド代表・松戸市民劇団座長)が、ハサミを入れた。バスは50人乗りの大型。途中狭い道も多かったがニュー松戸観光バス(株)の藤野一郎社長が自ら運転をかってでてくれ、安全に運行された。移動の車中は「青い山脈」「高校三年生」など懐かしの昭和歌謡を合唱。なかなか声が出ない男性陣はガイドの石上さんに励まされ、声をそろえていた。
「昭和の杜」では、オート3輪など古い車、昭和の雑貨などを見学。昼食は、昭和にちなんで、温かい雑炊と梅干しのおにぎり。ただ、雑炊は終戦直後のものとは違い、具がたっぷり入っていた。
「元禄まつど村」では古い農具や名物の人面かぼちゃを見学。甘酒と焼き鳥も振る舞われた。小松崎茂などの挿絵美術館「昭和ロマン館」ではハズレなしの抽選会を実施。挿絵画家たちの本やハガキなどがおみやげに。ダガシヤダイチャンでは、駄菓子を購入したり、ビールでのどを潤す人も。おみやげも手渡され自由解散。残る人は飲み、帰る人はバスで北小金駅と松戸駅へ。
参加された皆さん、破格の計らいをしてくださったニュー松戸観光バス(株)と各館の関係者の皆さんに、心より感謝申し上げます。
【戸田 照朗】
約3年ぶり上野にパンダ
3月下旬にも一般公開
東京・上野動物園に21日、約3年ぶりに飼育されるジャイアントパンダ2頭が中国から到着した。検疫など必要な手続きが終了してから、3月下旬にも一般公開される予定になっている。
来園したジャイアントパンダは、中国・臥龍(がりゅう)保護センター生まれの、オスの比力(ビーリー)とメスの仙女(シィエンニュ)。いずれも中国名5歳。中国野生動物保護協会と東京都の間で調印されたジャイアントパンダ保護研究実施の協力協定書に基づき、同動物園への来園が実現した。
2頭は21日午後に上海空港を出発し、午後8時45分過ぎ、パンダのイラストが描かれた全日空機で成田空港に到着。入国手続きを済ませた後、トラックに積み替えられて、同日深夜に動物園に到着した。
ジャイアントパンダ…食肉目クマ科パンダ亜科。体長120〜150・、体重100〜120・。中国南西部の標高2600〜3500mに広がる寒冷で湿潤な竹林に生息。体色は白と黒のツートンカラーで、目や耳の周囲、肩から前肢、後肢は黒く、その他は尾を含めて白色。前肢親指の外側に手首の骨が変形した突起があり、物をつかむことができる。主食は竹や筍で、肉や魚を食べることもある。繁殖期は3〜5月で、約3〜6か月間の妊娠期間後1〜2頭の子どもを出産する。
江戸川雪の国ものがたり
来月27日、第6回江戸川カッパ市
第6回江戸川カッパ市「江戸川雪の国ものがたり」が、3月27日午前10時から午後3時まで、江戸川河川敷(葛飾橋下船着場周辺)で開催される(雨天の場合は中止)。
今回のカッパ市では、昨年に引き続き、春の江戸川に雪の国が出現する。
越後長岡からダンプで約50トンの雪が運ばれ、雪だるまや雪合戦はもちろん、雪の土手すべりも楽しめる。
その他、流域フリーマーケットやリバーサイドカフェをはじめ、Eボート乗船体験、ヤッサン一座の紙芝居、猿まわし、長岡産棚田米の試食販売など、盛りだくさんの催しが行われる。
詳細・問い合わせは、電話 330・3450江戸川カッパ市実行委員会(NPO松戸福祉サービス振興会内)まで。