松戸市の地域情報を中心に、グルメ、イベント、おすすめスポットなど有益情報をお届けする、地域コミュニティ新聞「松戸よみうり」の第739号です。

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東北関東大震災

松戸からも消防援助隊

緊急消防援助隊千葉県隊の一員として陸前高田市で被災者の救助にあたる松戸市消防局職員の写真▲緊急消防援助隊千葉県隊の一員として陸前高田市で被災者の救助にあたる松戸市消防局職員

11日午後2時46分、三陸沖を震源とする国内観測史上最大の東日本巨大地震が発生し、東北から関東にかけての広い範囲で強い揺れと津波が襲った。松戸市でも、家屋の半壊や一部道路では液状化現象が発生し、避難所を開設するなど、市はその対応に追われた。大きな被害を受けた被災自治体では、現在も懸命な捜索活動などが続けられているが、松戸市消防局からも緊急消防援助隊千葉県隊の第1陣に4隊15人、第2陣に4隊16人を派遣。18日には第1陣、21日には第2陣が、津波で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市での任務を終えて戻った。

【竹中 景太】

沿道からの声援に力

「元の状態が想像できないほど凄惨な状態。街全体がなかった」。

第一陣の松戸部隊長を務めた川村実消防司令長は、現地での様子をこう振り返った。川村司令長は新潟県中越地震の際も、現地で捜索活動を行った経験がある。しかしその時とは、まるで違う光景が目の前に広がった。山を越え、橋を渡ったら、普通では考えられない光景だったといい、山にもくっきりと津波の跡が残っていた。

現地では行方不明者の捜索活動などを行い、必死な作業を続けたが、千葉県隊第1陣としては生存者の発見には至らなかった。

 

松戸市消防局を出発する隊員の写真▲松戸市消防局を出発する隊員

最も活動の妨げとなったのは余震だ。余震の度に、安全な場所に避難し、おさまったら再び活動を再開する連続だった。ガレキで足場が悪い中での活動と移動で体力的な疲労もあったが、それより、またいつ津波が襲って来るかわからないという、精神的な疲労の蓄積があったという。

第1陣は14日午後に出発し、一関インターチェンジを下りて陸前高田市に向かったが、その道中、隊員たちを奮い立たせる出来事があった。

「インターを下りた後、家がある場所では必ずといっていいほど、みなさんが家の前に出ていて、『ぜひ助けてください』『お願いします』と消防車両に頭を下げてきました。やらなくては、という使命感、一人でも助けたいという思いにかられました」。

18日に松戸市に戻り、第2陣に現地での状況、活動に必要なものなどを伝達し、家路に着いた。家の風呂につかった時、第2陣や被災地のことを思いながらも、少し落ち着けたという。

川村司令長は「被災地での活動を生かし、また他の消防職員にも伝えていき、松戸市の防災に取り組んでいきたい」とも話していた。

※写真は3点とも松戸市消防局提供

 

福島県から矢切老人福祉センターに着いた避難者の写真▲福島県から矢切老人福祉センターに着いた避難者(15日)

避難者286人受け入れ

福島から 公共施設、寺、民家に

震災に揺れる松戸市ロゴ

東日本巨大地震の発生を受け、市では発生当日の11日に対策本部を庁内に設置し、その対応にあたった。15日からは、公式Twitter(ツイッター)を開設し、「計画停電」などの情報をいち早く市民に伝えているほか、危険な状態が続く東京電力福島第一原発の周辺住民(避難者)の受け入れも始め、24日午前10時現在286人の避難者を市の施設や寺、市が募集したホームステイ先で受け入れている。

 

 

 

 

 

福島県からの避難者の受け入れは、15日に同県の避難所から放射能の影響を懸念して大型バスで避難してきた24人を、矢切老人福祉センターで受け入れたことがテレビで報道され、その日から次々と受け入れを求める問い合わせが殺到したという。そのため市では、市内の寺や市民にホームステイ先を募集し、24日午前10時現在、東漸寺で20人、栄松寺23人、ホームステイで4軒・29人、その他、市の福祉センターや学校などで避難者を受け入れている。

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道路の液状化、半壊も

「計画停電」通勤、営業に影響

液状化現象が起きた千駄堀隧道の前の道路の写真▲液状化現象が起きた千駄堀隧道の前の道路(11日) 壁が崩落した民間の遊技場の写真▲壁が崩落した民間の遊技場(11日) 地震の後、市役所庁舎の外に避難する人々の写真▲地震の後、市役所庁舎の外に避難する人々(11日) 臨時の駐輪場となった松戸市役所の写真▲臨時の駐輪場となった松戸市役所(14日)

市によると、市内の地震による被害状況(21日現在)は、人的被害として軽傷者12人、住家被害では半壊5棟、一部破損127棟、その他(非住家)半壊1棟などが、これまでにわかっている。千駄堀隧道手前の信号のある交差点から八ヶ崎消防署交差点までの道路が、地面の液状化現象などのために一時通行止めとなっていたが、暫定的な復旧工事を行い、現在は解除されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地震当日は、首都圏のJR、私鉄各線の全線がストップした影響で、勤務先から自宅に戻れない「帰宅難民」を合わせ、最大で1092人の避難民の対応にあたった。

 

 

 

 

 

週明けの14日から始まった「計画停電」の影響で、伊勢丹松戸店やボックスヒルなどの大型店が臨時休業。停電時間に合わせて閉店時間を早める飲食店なども見られた。

 

 

 

 

JR常磐線も松戸〜上野間のみの運行で、本数も大幅に減らされたため、朝の松戸駅には通勤客の長い列ができた。松戸駅まで自転車を利用する人が増えたため、駅周辺に自転車があふれ、市は庁舎内の駐車場を臨時の駐輪スペースとして提供した。

 

 

 

 

 

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松戸駅には通勤客の長蛇の列の写真▲松戸駅には通勤客の長蛇の列が(15日) 通勤客でごったがえす松戸駅の改札口の写真▲通勤客でごったがえす松戸駅の改札口(15日) 「計画停電」のため臨時休業した伊勢丹松戸店の写真▲「計画停電」のため臨時休業した伊勢丹松戸店(14日)

桜まつり、カッパ市中止

市民センターなど利用中止に

常盤平(4月2、3日)、六実(同)、八柱(2日)、八ヶ崎(3日)、霊園(同)の各さくらまつりが中止に。27日の「江戸川雪のカッパ市」、戸定が丘歴史公園などで29、30日に開催予定の「緑の回廊ツアー春の特別企画」、4月3日の「江戸川ハイキング」、16日の「レンゲ祭り2011」(江戸川河川敷)などが中止となった。

 

 

 

 

 

 

 

地震の影響や、節電、避難所として利用するため、当面利用できない公共施設も多くなっている。

 

 

 

 

各市民センターは31日まで一時利用中止。森のホール21は大ホールが休館(小ホール他の施設は利用可)。市民会館はホールが休館(会議室などは利用可)。六実高柳・東部・矢切・小金原の各老人福祉センターは一時利用中止。図書館本館は火曜から金曜までの夜間開館を中止(17時閉館)。図書館小金原分館は一時利用中止。まつど市民活動サポートセンターは4月中の貸出中止。クリーンセンター内温水プールは一時利用中止。

※自転車と伊勢丹以外の写真は松戸市提供

 

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フッと心和む作品を

人形作家 兵庫倫子さん

今秋、伊勢丹松戸店で開催が予定されている「日本伝統工芸展松戸在住作家展」(9月28日〜10月4日)。同展出品作家を紹介する「伝統工芸作家の肖像」の3回目は、人形作家の兵庫倫子さんです。

【竹中 景太】

自宅兼アトリエで人形を製作する兵庫倫子さんの写真▲自宅兼アトリエで人形を製作する兵庫倫子さん

日本工芸会研究会員・兵庫倫子氏。東京都出身、69歳。

伝統工芸作家の肖像ロゴ

兵庫さんの人形との出会いは30年ほど前。知人に木目込人形を見せてもらい、「ちょっとやってみようかな」と軽い気持ちで始めた。浅草橋にある人形の材料屋で開かれていた人形教室に通い、木目込人形を2年ほど学んだ。教室ではある程度完成された作品を組み立てるなど、それほど難しい作業はなかった。そんな時、教室の先生から家へ招待され、創作人形をやってみないか、と誘われた。

「教室の先生の旦那様が有名な人形作家で、作品も見せてもらい、ひかれました。自分が作りたかったものはコレだ、と思いました」。

創作人形作りは作業工程も多く、手間も時間もかかる。新たにおぼえなければならないことは多かったが、それでも最初に感じたことは「おもしろい」だった。もう夢中になってやり続けた。今思い返すと「ウチの先生は惜しみなくいろんなことを教えてくれた。だから上達しようとも思ったし、のめり込んでいったのだと思う」。

兵庫さんが好んで作るのは、江戸時代の子どもをモチーフにした作品。今年、15回目の入選を果たした東日本伝統工芸展へ出品したのも、「夢は棟梁」という大工道具を抱えた子どもの作品だった。

作品の参考には昔の浮世絵もよく見るといい、相撲の「呼び出し」をモチーフにした作品「千秋楽」を作る際には実際に両国国技館に足を運び、知人に頼んで、「呼び出し」の人の写真を撮らせてもらい参考にした。ただ、手間暇、時間をかけても、思いを込めて人形を作らないと、いい作品はできないという。

 

兵庫倫子さんが製作した「昼さがり」の写真▲兵庫倫子さんが製作した「昼さがり」

「やっぱり暗い気持ちで作ったら、人形も暗くなっちゃう」。

そんな兵庫さんも昨年から今年にかけて病を患い、「(人形作りは)もうできないかな」と思った。そんな時、陶芸家の三崎哲郎氏から日本伝統工芸展松戸在住作家展へ誘われた。「最初は断ろうと思っていたのだけど…」。

現在も病院へ通院する日々だが、心のどこかで「まだ人形を作りたい」という思いがあった。製作意欲がかき立てられ、同展に出品する「雛人形」作りに入った。いざ製作してみると、「まだできる」と思った。

「きれいにできた、とかではなく、見てハッとするような作品がある。その作品と題名を見た時、『フッ』と笑えるような心和む、そんな作品を作りたい」。

 

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事業仕分け受け 市が方針

昨年11月に行われた松戸市の事業仕分けでは、市が行っている700事業のうち18事業が対象となり、「不要」7事業、「市実施(要改善)」10事業、「市実施(現行どおり)」1事業となった。事業仕分けの結果は、市の最終判断ではなく、今後の行財政改革を推進する上での参考にする、としていたが、事業仕分けを受けた18事業について、23年度の市の方針が決まった(下表参照)。

「不要」と判定された7事業のうち、福利厚生事業(職員共済組合交付金)、木製粗大ごみの再生事業は廃止の方針。ほかの5事業については、「23年度中に廃止も含め、慎重に検討する」とした。

福利厚生事業(職員共済組合交付金)は「福利厚生事業に関しては組合員の負担で収入と見合う範囲でやるべきで、市が本来負担するべきものを明確にして、市町村共済組合の事業のすみ分けをきちんとすべき」、木製粗大ごみの再生事業は「『ものを大切にする』目的事業として、2万2千点以上の粗大ごみの中から2%を再生することで市民の啓発が推進されるとは思われない。税金を使う事業としては、効果の指標が不十分で、一度廃止して幅広くリサイクルを啓発する形で再検討すべきである」という意見が仕分け人から出されていた。

【戸田 照朗】

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