松戸市の地域情報を中心に、グルメ、イベント、おすすめスポットなど有益情報をお届けする、地域コミュニティ新聞「松戸よみうり」の第766号です。

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東葛の寺社めぐり(番外)

印西市の神社・仏閣を訪ねて(後)

茅葺きの宝珠院観音堂(重要文化財)の写真▲茅葺きの宝珠院観音堂(重要文化財)

印西市の寺社めぐりの後編は、市の北部を歩いた。旧印西市と旧本埜村にあたる地域で、JR成田線沿線となる。

【戸田 照朗】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水運で栄えた木下

印西市北部は、利根川沿いにJR成田線が走り、その昔は水運で栄えた地域だ。市役所のある大森には弁天川という川が流れているが、橋の下に船が繋留され、壊れた船の中で白鳥がエサをつつく姿は往時をしのばせる。

 

木下の弁天川でエサをついばむ白鳥の写真 ▲木下の弁天川でエサをついばむ白鳥 六軒厳島神社と水神社の写真 ▲六軒厳島神社と水神社 上町観音堂の銅造十一面観音立像の写真 ▲上町観音堂の銅造十一面観音立像 長楽寺の鐘楼と仁王門(奥)の写真 ▲長楽寺の鐘楼と仁王門(奥)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この弁天川の弁天橋の近くにある六軒厳島神社と水神社は地元では「弁天様」として親しまれているという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木下の上町観音堂には、銅造十一面観音立像が安置されている。像高50・5センチの鋳銅製で、鎌倉時代彫刻の特徴が見られ、背面の裳(も)には永仁5年(1297)の銘文が刻まれている。8月上旬に開帳される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大森の長楽寺には県指定文化財の梵鐘がある。ほかに仁王門などがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

宝珠院観音堂

泉倉寺の写真▲泉倉寺 木造延命地蔵菩薩坐像の写真 ▲木造延命地蔵菩薩坐像水田に浮かぶ発作の厳島神社の写真▲水田に浮かぶ発作の厳島神社 日本三名井のひとつ「月影の井」の写真 ▲日本三名井のひとつ「月影の井」 観音寺の仁王門と観音堂の写真 ▲観音寺の仁王門と観音堂 浦部の百庚申の写真 ▲浦部の百庚申 白幡の八幡宮の写真 ▲白幡の八幡宮

小倉にある宝珠院観音堂は、国の重要文化財。茅葺き寄棟造の美しい堂は内部にも美しい色彩装飾があり、「光堂(ひかりどう)」と呼ばれている。昭和28年(1953)から29年の解体修理の時に厨子内に永禄6年(1563)の墨書銘が発見され、製作時期が判明した。

 

 

 

 

 

 

道を挟んで宝珠院観音堂の隣にある泉倉寺は、奈良の東大寺を思わせるような堂が美しい。同寺には県指定文化財の木造延命地蔵菩薩坐像が安置されている。像高139センチ、カヤ材の寄木造で、彫眼(ちょうがん)、漆箔(しっぱく)の像。製作年代は鎌倉時代初期らしく、姿が整い、仕上げも胎内まで箔をおいた丁寧なものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鮮魚街道の寺社

木下駅の隣に布佐駅(我孫子市)があるが、この駅の前からは江戸時代に鮮魚を運んだ道、鮮魚(なま)街道が松戸まで続いている。この街道沿いに歩くと発作の水田の中に厳島神社がある。また、浦部という地域に入ると、丘の上に大六天神社があり、下手賀沼の景色を一望できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くには日本三名井に数えられた「月影の井」や、仁王門や観音堂がある観音寺、鳥見神社、皇太神宮、百庚申などがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣の白幡という地域には八幡宮と吉祥院がある。八幡宮は道から見ると、拝殿の向こうの本殿の屋根までが重なるように見えており珍しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿夫利神社の大鳥居の写真 ▲阿夫利神社の大鳥居 竹袋稲荷神社の本殿の写真 ▲竹袋稲荷神社の本殿 地蔵寺の木造地蔵菩薩立像(左)と瀧水寺の薬師如来立像の写真 ▲地蔵寺の木造地蔵菩薩立像(左)と瀧水寺の薬師如来立像 地蔵寺の仁王門。奥が地蔵堂の写真 ▲地蔵寺の仁王門。奥が地蔵堂 瀧水寺の仁王門の写真 ▲瀧水寺の仁王門 瀧水寺の木造金剛力士立像の写真 ▲瀧水寺の木造金剛力士立像

 

高西新田の阿夫利神社は、銚子の海底から上がったという青石が祀られている。道路沿いにある大きな鳥居が目を引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重文など文化財

竹袋の稲荷神社は交通量の激しい県道沿いに赤い鳥居があり、鳥居の先は森の中の参道になっている。参道は谷となっていて、階段を一端下りて、また境内への階段を上る。朱色の本殿が見事だ。県道を挟んで反対側には三宝院がある。緑に囲まれた境内がいい。

 

 

 

この県道の先、別所という地域にある地蔵寺地蔵堂には県指定文化財の木造地蔵菩薩立像が安置されている。鎌倉時代に造られたもので、60年に1度開帳される秘仏。ヒノキの割矧造(わりはぎづくり)。繊細で巧みな仕上げが見られる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地蔵寺にも立派な仁王門があり、仁王像が安置されていた。この後にも出てくるが、仁王門を持った寺が多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに県道を南下すると、滝という地域に瀧水寺があり、県指定文化財の木造金剛力士立像が安置されている。像容(ぞうよう)から受ける力強さは中世風だが、足、腕に見られる弱さは時代的に下がると考えられる。2体の像には構造的な違いがあるが、同時期の作と見られる。製作年代は室町時代と推定される。

 

 

 

 

 

 

また、同寺には市指定文化財の薬師如来立像も安置されている。像高96・5センチ、針葉樹(ヒノキ科)の割矧造。製作者、製作年は不明だが平安時代後期の作と思われる。丸みを帯びた表情は11世紀前半に仏師定朝(じょうちょう)が生み出した定朝様の特徴を持つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

福聚院の阿弥陀三尊立像の写真 ▲福聚院の阿弥陀三尊立像 木造不動明王立像(左)と毘沙門天立像の写真 ▲木造不動明王立像(左)と毘沙門天立像

 

 

 

中根の福聚院には市指定文化財の阿弥陀三尊立像が安置されている。鎌倉時代前期の製作だと考えられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小林の西福寺には市指定文化財の木造不動明王立像と毘沙門天立像が安置されている。像高は不動明王が62センチ、毘沙門天が65・5センチで、カヤ材の一木割矧造。鎌倉時代の作風で、両像内に仏師賢光(けんこう)の銘がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

県下最古の建築物、栄福寺薬師堂の写真 ▲県下最古の建築物、栄福寺薬師堂

 

前回、市南部を歩いた際に紹介すべきだったが、国の重要文化財に指定されている栄福寺薬師堂が抜けていた。場所は、北総線印旛日本医大駅の近く、角田(つのだ)という地域にある。棟礼(むなふだ)に「寛正七年(1466)六月柱立、応仁三年(1469)霜月上棟、文明四年(1472)二月成就」と墨書銘があり、建立年代の明確な県下最古の建造物だ。

 

 

 

 

 

 

前回歩いた南部には宗像神社が多く見られたが、北部には鳥見神社が多かった。それらには、県指定無形民俗文化財の獅子舞や神楽が伝わっていた。

※参考資料=「ガイドマップいんざい」(印西市)、金剛力士以外の仏像の写真は印西市教育委員会提供。

 

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旧沼南町地図(2)