ワールド・ウォーZ:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

ワールド・ウォーZ

 ゾンビ映画というのは、出るとなんとなく見てしまう。

 ゾンビと言えばB級映画の代名詞のように言われていた昔、ゾンビの動きは鈍く、主人公たちは油断しなければ逃げることができた。その後人間並みに動けるゾンビも出てきて、多様化している(動物など肉ならなんでも喰らうというものもある。ゾンビになってからの体の強さもそれぞれ違う)。最近だと「バイオハザード」シリーズのゾンビは速く、テレビシリーズ「ウォーキング・デッド」のゾンビは遅い。動きが遅いゾンビで怖いのは、その数の多さと、逃げ場を失った時。動きが速いゾンビに至っては、もう手に負えない。何かに追いかけられている、という悪夢のような感覚が、なんとなく見てしまう理由なのかもしれない。また、未知のウイルスの感染爆発(パンデミック)という現代的な要素を加えるのも最近の傾向だ。

 

ワールド・ウォーZの写真

 その日、ジェリー(ブラッド・ピット)と妻、2人の娘を載せた車は渋滞にはまっていた。一向に動かない車列に、これがいつもの交通渋滞でないことに気付くが、次の瞬間、背後から猛スピードで暴走するトラックが迫ってくる。必死で家族を守り、その場から逃げだしたジェリー。全世界では爆発的に拡大する「謎のウイルス」によって感染者は増加し続け、大混乱に陥っていた。元国連捜査官として世界各国を飛び回ったジェリーに事態を収束させるべく任務が下る。怯える家族のそばにいたいという思いと、世界を救わなければならないという使命の狭間で、ジェリーは究極の選択を迫られる。感染の速度は加速する一方で、人類に残された時間はわずかだった…。

 本作に出てくるゾンビは噛まれてからの変身のスピード、運動能力がさらに加速している。狂犬病をイメージしているのか、人肉を喰らうというより、凶暴になり、噛みつくことで感染が爆発的に広がっていく。それだけに、血が飛び散るようなシーンは極力抑えられ、緊迫感のあるストーリー展開で見せている。

 西洋人はゾンビに対して私たち以上に恐怖感を持っているのだろうか。それは土葬という埋葬方法によるところもあるかもしれない。ジェリーは感染源を求めてイスラエルのエルサレムに向かう。聖地とこの世の終りのような状況は、信仰を持つ人には何かを感じさせるのかもしれない。

 製作=ブラッド・ピット/製作総指揮=デヴィッド・エリソン、デイナ・ゴールドバーグ/ 監督= マーク・フォースター/ 脚本= マシュー・マイケル・カーナハン/原作=マックス・ブルックス/ 出演= ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、マシュー・フォックス、デヴィッド・モース/2013年、アメリカ

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 「ワールド・ウォーZ」、価格=DVD 3360円(税込)、発売元・販売元=株式会社KADOKAWA 角川書店