6年前にうちにやってきた、黒いオスの迷い猫でした。
最近よく姿を見かけるなぁ、と思っていたら、いつもミンミンが出入りしている2階の窓に来て、自分も中に入ろうとしています。それで、大きなお尻を押して外に出そうとするのですが、両手足で踏ん張ってキュンキュンとなんとも情けない声を出しています。そんなことが何度かあり、かわいそうというか、哀感を誘う姿に負けて、うちに入れることにしました。
体は汚れていましたが、青い首輪をしています。飼い主が探しているかもしれない、と思い、松戸よみうりに情報を掲載して探してみたのですが、見つかりませんでした。
私にもなつき甘えていましたが、クロはミンミンが目当てでうちに来たのだと思います。ミンミンに気に入られようと、体をなめてあげたり、いろいろチョッカイを出すのですが、ミンミンはうるさがるばかり。猫パンチの嵐をうけても、黙って頭(こうべ)を垂れている姿は、なんともいじらしいものがありました。ミンミンのほうは、クロの体をなめてあげたことは一度もないと思います。それでも、クロはあきらめずに(というか、ちょっとしつこいぐらいに)ミンミンの体をなめていました。
健康診断で腎臓が弱っていることがわかり、点滴など治療をしたのですが、同時に顔に腫瘍ができたりして、それから10日あまりで亡くなりました。看取った経験のある方はわかると思いますが、途中で安楽死を選んだほうがよかったのではないか、と今でも考えます。動物は何も言ってくれないので、その判断は人間に任されます。苦しい難しい選択だと思います。
3年前の3月30日は、穏やかな桜満開の日でした。朝容体が急変して病院に駆け込み、最期の時間を家で過ごすために戻るタクシーから県道沿いの桜を見ました。クロは私に抱かれて上を見ていましたが、もう意識はなかったと思います。
翌日の葬儀には、クロをかわいがってくれた隣に住むおばさんも参列してくれました。葬儀の間は雨が降っていたのが火葬するころになると晴れてきました。帰りの車のなかで、おばさんが「ほら、あそこ」と指差す方向を見ると、クロにそっくりな雲が浮かんでいました。ほんとうに、短いしっぽが曲がった感じなどがそっくりなのです。
クロが昇っていく。私たちを見ている。そう思いました。
それから2週間。クロの死もなにも知らない友達から保護した子猫を飼ってくれないか、という電話がありました。これも何かの縁かと思い、うちに来ることになったのが、「さくら」と「ちびクロ」です。
コメント & トラックバック