猫の家族愛

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さくらには家族(猫)を思いやる気持ちもあるんだね

 うちには、かえでという末っ子がいました。子猫の時に私に拾われ、水も自分で飲めないほど弱っていましたが、なんとか命をつなぎました。しかし、その後も食が細く痩せていました。後の検査でエイズキャリアーであることがわかりました。
 昨年の暮れに2年半の短い生涯を閉じましたが、エイズには潜伏期間があるはずで、死因はよくわかりません。
 かえでは病院通いばかりしていた子でしたが、これはその頃の話です。
 ある日、かえでを病院に連れていきました。理由は覚えていませんが、さくらも連れてきていました。キャリーバッグが1つしかないので、さくらには散歩用のひもをつけていました。
 かえでは病院が大嫌いです。この日も採血のために医師と看護師に体を抑えられ、怒りの声をあげていました。採血は太い血管が通っている首すじからすることが多いのですが、先生が針を刺そうとした瞬間、先生が「ギャーッ」と悲鳴をあげました。
 なんと、さくらが先生の膝に思いっきり爪を立てたのです。かえでのただならぬ声に、先生がかえでをいじめていると思ったのでしょう。かえでを守ろうとしての一撃でした。
 先生には申し訳ないのですが、何ごともなかったかのようにすましたさくらの横顔を見ながら、「さくら、男前だなぁ」(さくらは女ですけど)と感心しました。
 猫は群れない、単独行動を好む動物だと言われます。でも、同胞、いや家族を守ろうとする意識も、人間と暮らす家猫には芽生えているのかもしれません。

体が弱く昨年暮れに他界したかえで(右)


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