春に消えた小さな命

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お湯で洗ってあげると、猫らしい模様が見えました

 春は猫にとって恋の季節。今ごろから子猫が保護されるケースが増えます。
 昨年の6月の初旬だったと思います。朝出勤しようとしたとき、庭の奥で甲高い鳴き声がしていました。
 何かな、と見てみると、ぬめりのある小さな体が動いていました。ノラ猫が子どもを産んだのです。少し離れてみていましたが、1匹の猫が手でチョンチョン触るだけで、何か積極的に世話をしている様子がありません。この猫が親かどうかもわかりませんが、そうこうするうち、鳴き声が弱くなってきました。人間が一度手に触れると、もう親が近寄らないだろうと、躊躇していたのですが、やむなく拾い上げました。
 家に入れて、ぬるま湯で体を洗ってあげました。最初は猫だかネズミだか分らなかった体から、毛が乾くにつれ猫らしいシマ模様が見えました。手足をわやわやと動かし、まるで人間の赤ちゃんのようです。耳がまだ目の横についていて、猫の顔になっていません。この耳は、成長するにつれ頭頂部にむけて移動するようです。へその緒もついたままで、目もあいていませんでした。
 何をしたらいいのかわかりませんでしたが、とりあえず子猫用のミルクを温め、猫に薬をやるとき水を飲ませるために使う針のついていない注射器で、ミルクを飲ませました。
 その日はなんとか越したものの、翌日から元気がなかったので、ネットで調べたところ、ミルクの与え方が間違っていたのかもしれません。人間のように頭を上にして少しずつ与え、飲ませ終わったらゲップをさせないといけなかったようです。私は経験がありませんが、人間の赤ちゃんと同じなんですね。
 温度と湿度も足りないことがわかり、とりあえずお湯を入れたペットボトルで湯たんぽをつくり、寝床にしていたキャリーバッグの中に蒸しタオルを入れました。
 カイロと温度・湿度計を買いに外に出たのですが、帰ってみると既に冷たくなっていました。
 先に医者に診せてアドバイスをもらう、という方法もあったと思います。
 いろいろと後手後手にまわってしまい、亡くなった小さな命に申し訳なくてなりませんでした。
 今も苦い想いが消えません。

 うちの周りにはノラ猫の兄弟姉妹がおり、そのうちの一匹が産んだものと思われます。ボランティアの方からトラップを借り、避妊去勢手術を計画していた矢先の出来事でした。その後、捕獲し手術を終えましたので、今年の春はこの猫たちから子猫が生まれることはありません。


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