北部市場来春廃止へ

老朽化など理由に半世紀の歴史に幕

八ヶ崎にある松戸市公設地方卸売市場「北部市場」が、来年3月末をもって、廃止される。施設の老朽化と耐震性の問題、また市場を取り巻く環境の変化等により、市場の存続が困難な状況になったことから、市が開会中の市議会6月定例会に、同市場を廃止するための議案を提出している。1969年(昭和44年)の開設からおよそ半世紀、青果物の流通の円滑化と市民への安定供給を担ってきた市場が姿を消す。

来春廃止される予定の北部市場の写真▲来春廃止される予定の北部市場

北部市場は、民営4市場を統合して松戸市営青果市場として開設した。民間の施設会社が所有する施設の一部を市が賃貸借し、そこで卸売市場を開設するという、全国的にも珍しい民設公営方式の市場で、その後、分場として開設された現・南部市場(松戸新田)も同様の方式が採用されている。

開設以降は水産物部や食肉部もあったが、その後に廃止され、現在は青果部のみ。1991年度に過去最高となる取扱金額360億円超の取引があった青果部も右肩下がりで、2014年度は約166億円と半分以下に落ち込んでいる。その背景には、直売所、産地直送、通信販売など卸売市場を経由しない多様な流通経路の拡大などがあげられる。

そうした中、東日本大震災後に行われた耐震診断等で、施設の耐震性の低さや地盤沈下の進行など老朽化が明らかとなり、施設改修には大きなコストと時間を要することから、卸売業務を維持していくことは困難であることが判明。これを受けて、市場関係者からなる「北部市場に係わる連絡協議会」が設置され、これまで協議が重ねられてきたが、今年1月、来年3月末をもって北部市場での卸売業務を終了することで合意に至った。

廃止後については、卸売業者は柏市場へ営業拠点を移しその業務を存続させることを表明。仲卸業者、買受人(組合)については、概ね柏市場、松戸南部市場、その他近隣市場への移転をそれぞれ検討しているという。

市場関係者の一人は「みんないろんな不安を抱えているが、こればかりはどうしようもない。前々から閉めたいという話で待ってもらっていた面もある。移転費用の問題などもあり、辞めちゃう人も何人かは出てくるのでは」と話す。

なお、北部市場跡地については、現在は都市計画法上の都市施設「市場」と位置づけられているため、開発などを行うためにはその変更が必要だが、商業施設なども建設できる広さがあり、今後の動向が注目される。