公立夜間中学2019年春開設

教育機会確保法成立受け「市民の会」の運動実る

伊藤純一教育長が22日の市議会で、2019年4月に公立の夜間中学校を開設することを表明した。昨年12月7日に成立した教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)を受けてのもの。同法は松戸市で公立中学校夜間学級(夜間中学)を設立することを求めて35年間、松戸市勤労会館で松戸自主夜間中学を運営してきたNPO法人・松戸市に夜間中学校をつくる市民の会(以下「市民の会」)が念願していた法律。地方公共団体に夜間中学などでの教育の機会を提供することを義務付けるものだ。

「北斗祭」で初めて校歌を歌う松戸自主夜中の生徒らの写真▲「北斗祭」で初めて校歌を歌う松戸自主夜中の生徒ら

同法は5章20条で構成され、その第4章は章名が「夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等」となっている。第14条で「地方公共団体は、学齢期を経過した者であって学校における就学の機会が提供されなかったもののうちにその機会の提供を希望する者が多く存在することを踏まえ、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする」としている。

また、第15条では、就学の機会の提供のための事務についての役割分担を協議したり連絡調整を行うために「協議会」を組織することができるとしている。「協議会」の構成者は都道府県と市町村の首長と教育委員会のほか、「支援活動を行う民間の団体」となっており、「協議会」が組織されれば「市民の会」も参加することになりそうだ。

公立夜間中学は市川市の大洲中学にあり、松戸で開設されれば県内で2校目となる。

 

35年間自主夜中開講2900回記念授業

松戸自主夜間中学は、松戸市勤労会館で毎週火曜と金曜の夜に開かれている。教えるのは「市民の会」の会員。一斉授業と個別指導を行う。35年前に開講した当時は戦争や貧困で十分な教育を受けることができなかった高齢者の姿もあった。しかし、次第に増えたのは、不登校の子どもたちや、中国残留孤児や外国人、障がい者など。その時々の学校教育で居場所を見つけられなかった人たちの受け皿となってきた。

このほど開講2900回となり、記念公開授業が3月4日午後2時から5時まで、松戸市民会館301号室で行われる。講師は文部科学省教育制度改革室長の常盤木祐一氏。テーマは「教育機会確保法の施行と夜間中学のこれから」。参加費は無料。問い合わせは、電話 047・703・1232。

 

校歌を発表

また記念公開授業では、できたばかりの松戸自主夜間中学校の校歌も歌われる。同会と親交のある作家の山中恒氏が作詞、池辺晋一郎氏が作曲した。

松戸自主夜間中学では授業のほかに「北斗祭」と呼ばれる文化祭や、「出発(たびだち)の会」と呼ばれる卒業や進学、結婚など会員の新たな節目を祝う会など「学校行事」を行っている。校歌は昨年12月の「北斗祭」で初お披露目された。作詞をした山中恒氏も出席の予定だったが、体調を壊されたために、奥様だけが出席した。

 

松戸自主夜間中学校校歌

詞 山中恒

曲 池辺晋一郎

一、松戸の空に日は落ちて

  星影瞬くそのころに

  灯火(あかり)の下に学びあう

  仲間がつどい

  結んだ絆

  希望の花を咲かすまで

  強く続くよ強く

二、松戸の街に火がともり

  月影輝くそのころに

  学ぶ心で励み合う

  仲間とつどい

  交わした瞳

  希望の虹のたつところ

  強く見つめて強く

三、松戸をめぐる春や秋

  指折りかぞうそのころに

  学びの糧(かて)を積み上げて

  仲間とつどい

  交わした言葉

  自分の夢をつかむまで

  強く忘れず強く

  わたしの学舎(まなびや) 松戸の自主夜中

  みんなの学舎 松戸の自主夜中