震災避難者の情報交換の場に

交流サロン「黄色いハンカチ」オープン

 東日本大震災からまもなく2年を迎えようとするなか、松戸駅前・伊勢丹松戸店近くに、松戸市などに避難している震災避難者の交流サロン「黄色いハンカチ」がこのほどオープンした。先月26日にプレオープンイベント、今月17日には本オープンを記念したオープニングセレモニーが行われ、避難者・支援者が会し、同サロンの開設を一緒になって祝った。

オープニングセレモニーで挨拶する古宮保子代表の写真▲オープニングセレモニーで挨拶する古宮保子代表

震災から2年。避難者の自立をサポート

 松戸・東北交流サロン「黄色いハンカチ」を開設したのは、市内で活動を行う「ファミリーサポート勇気づけ」「NPO法人子どもっとまつど」「認定NPO法人たすけあいの会ふれあいネットまつど」の3団体によって設立された「松戸・東北交流プロジェクト運営委員会」(古宮保子代表)。3団体は震災後、被災地でのボランティア活動や、松戸市内へ避難してきた被災者への支援活動などをそれぞれ行ってきた団体で、そうした活動を通して「避難者同士の話し合いの場がほしい」「故郷の情報が知りたい」などの要望があることを知り、同サロンをオープンさせた。

 サロンは、震災避難者の方が買い物や用足しのついでに気軽に寄り、コーヒーを飲みながら談笑したり、情報交換できる場となっており、福島民報や福島民友など故郷の新聞も読めるほか、パソコンのインターネット利用もできる。また、スタッフが常駐しており、困り事相談にも応じる。

 

避難者の声を聞く古宮保子代表の写真▲避難者の声を聞く古宮保子代表

 古宮代表は「今も松戸だけで100家族ほどの避難者の方がいらっしゃいます。昨年5月、避難者の方が公的避難場所から民間借り上げの避難所に移り、お箸一膳ない状態でした。いろいろな方の協力で生活家電などは揃いましたが、まだまだ慣れない地で困っている事、悩んでいる事、避難者それぞれにあります。このサロンを支援ではなく交流の場としたのは、避難者の方にここを利用して自立してもらいたいという思いからです。そのために一緒になってサロンを運営していきたい」と話していた。

 サロンの利用料は1回100円で、コーヒー・お茶などの飲み物とお菓子が付く。現在は毎週火・水・木曜の午前10時から午後4時までの開設だが、仕事などで平日の利用が難しい避難者のために今後、月1回ほど土・日曜の開設も検討しているという。

 問い合わせは、電話 710・5519同サロンまで。

「帰りたくても放射能心配」

今月17日のオープニングセレモニーでは、古宮代表、来賓として出席した本郷谷健次市長らがあいさつしたほか、松戸市に避難されている被災者の方からこれまでの支援への感謝の言葉や同サロン開設のお祝いの言葉が寄せられた。また、セレモニー後には、被災地での支援活動なども行っている市内在住の音楽家・竹内恵里さんによるコンサートが行われた。

 この日のセレモニーに参加した、福島県浪江町から避難している渡部清美さん(75)は、昨年6月から松戸に移り住んできたといい、現在も自宅には「線量がすごくて帰れない」という。松戸での生活は「田舎の生活とは違う」と不便を感じつつも、古宮代表らからの支援に感謝し、「こういう場所ができたことはいいことだよね」とサロンの開設を喜んでいた。

黄色いハンカチの地図

 南相馬市から親類をたよって、震災後の29日に松戸市に避難してきたという佐藤利雄さん(65)は、自宅にいる時、震災に見舞われた。その日の夜、勤めていた学校の送別会に参加するつもりで家にいたという。現在は松戸で働いているといい、「家に帰れることになってもあっちには仕事がない。それに放射能だって、大丈夫と言われても、海、山、川、それぞれで数値が全然違うことだってある。いろいろ不安」。サロンの開設については「こういうのは歓迎しますね」と話していた。