松戸駅周辺リニューアル構想

文化の香るまちに

本郷谷健次市長に聞く

 先月15日の松戸市長選挙で再選を果たした本郷谷健次市長にこれまでの4年間と、今後の展望について伺った。

政策について語る本郷谷健次市長の写真▲政策について語る本郷谷健次市長

 記者 一期目を振り返って伺います。市立病院については、現地建て替えを主張されていましたが、結果は少し違うもの(千駄堀に新病院を建設)になりましたね。

 市長 東日本大震災が大きな契機となった。医者や看護師、入院患者も一時全員退去した。もう議論している時ではなくて、方向を決めなければ、病院そのものがなくなってしまう、人が寄り付かなくなってしまう。いろんな意見があるが、みんなが賛成できる方向を決めないと市立病院自体がなくなってしまうという大変な不安があった。みんなの意見が集約できて、将来に禍根を残さない案を提案し、議会でも大多数の賛成を得て進めた。みんなの意見をよくまとめたという意味では、よくできたと思っている。

 記者 議員定数の3分の1を削減ということをおっしゃっていましたが。

 市長 市長としては大幅削減ということで提案をさせていただいたが、議会のことは議会で議論させてほしいということなので、それはまあ当然の話であって、議会で2議席削減が決まった。再度昨秋から議員定数削減について議論している。議会が決めないと決定しないのだから、そういう意味では問題提起をして、これからも議論を続けてもらう。スタートは切ったと思う。

 記者 3年間で財政再建に目処をつけ、改善した一部を減税に、とのことでしたが。

 市長 「貯金」は120億円から250億円に倍増しているから、財務体質的には改善している。それを減税に使うかどうかというのはその時の状況を見なくてはならない。今回の場合は放射能の問題、耐震の問題に対処しなければならなかった。(学校等)耐震で100億円はかかっている。学校にはクーラーを入れる予定だったが、それも止めて、耐震を最優先で27年までに全部やってしまおうと進めている。減税の選択肢をなくしたわけではないが、今は耐震の方を優先している。

 記者 駅前保育園など子育ての社会化については。

 市長 待機児童がこの6月1日で5名になった。保育所をつくるなど、まさに子育てを社会化するための体制を組んできた。子どもの医療費についても、私が市長になるまでは幼稚園までが助成(通院1回、入院1日200円)の対象だったが、マニフェストでは小学6年生までとしていた。ニーズが思ったよりも高いということで、昨年8月から中学3年生までにした。

 記者 支所ごとに「地域協議会」をつくり、地域のことは地域で決めるまちづくりを目指すとのことでしたが。

 市長 3年くらい前から委員会をつくって議論をしている。予算を150万円とろうとしたが、認められなかったけれども、実態としてはモデル的に先行している地域がやりだしている。小金や馬橋、本庁地区などが前向きに会を開いて地域に関することを話し合っている。これからは高齢者が増えてくるので、医療とか介護の体制を整えなければならないし、地震などが起きたときは助け合わなければならない。

 記者 日曜日も市役所・支所・出張所を開庁するとのことでしたが。

 市長 松戸駅にある行政サービスセンターを前は土日休みだったのを、今は土曜日は毎週、日曜日は隔週開庁している。支所についても同じ方向で徐々に広げていきたい。

 記者 事業仕分けをされましたが、その効果は?

 市長 市役所がやっている仕事を外部の人が評価して、その意見を市政に反映するということは、効果があったと思う。事業仕分けを何のためにやるかというと、職員だけで判断するのではなくて、外の目を入れようということ。ただ、それだけではなかなか限界があるので、中途採用の人を入れている。昨年採用した職員約120人のうち、40人は中途採用。49歳までの採用で、平均が40歳前後。民間を10年から20年経験した人が入ってきている。昔は20代の人しか入れなかった。そういう人ばかりだと、どうしても同じような仕事になってしまう。

 マニフェストには書いてないことも見て欲しい。今まで行政がタテ割りで、国に言われたことしかしていない。それでは良いまちができないので、市としての視点で、市民の目線で行政をやっていこうということの例示として(55のマニフェストを)出した。

 マニフェストには書いてなかったが昨年本部制を廃止した。なぜ廃止したかというと、タテ割りの仕事しかしないから。国や県が言ったことしかやっていないし、ほかの市と同じようなことしかしていない。もっと自分たちで考えて、物事を進めるようなまちにしようと動いているわけで、視点を変えようとした。

 行財政改革で、課長補佐以上を600人くらいいたのを150人くらい減らした。(職員の分布が)頭でっかちで、下が少ないから、もう少しスリムにしようと昇給・昇格を相当抑えた。これもマニフェストには書いていないが、思いは同じ。市民の方を向いた仕事がもっとできるように、やっている。

 記者 では、今後についてお聞かせください。

 市長 みんなで夢を語って、まちを作っていきましょうというのが今回のテーマです。全体の政策として、文化が香るまち、文化を大切にするまち、というのを掲げています。少子高齢化の社会を迎えるわけだから、子育て、教育、文化を大切に、若い人たちが子育てをする環境をつくっていく。高齢者が安心して住めるまちにするために、医療や介護、防災、防犯の体制をしっかりと整え、地域で助け合えるまちに。公共施設が老朽化しているので、10年、20年後を見据えて、リニューアルしていく。そのために、行財政改革もしっかり取り組まなくてはいけない。

 記者 先日、教育委員会で、図書館を整備するという話を伺いました。実現性はいかがでしょう。

 市長 この間、松戸駅周辺プロジェクトということで、記者会見をしました。松戸市周辺には公共施設がたくさんあるので、それを集約、再編していこうということ。図書館、市民会館も古くなっている。松戸駅の東口は公共施設の集約場所、西口は民間の開発場所というようにゾーン割りをした。1年かけてそれを市民の方の意見、議会の意見を聞きながら、基本構想をつくる。

 記者 三部制の中学校をつくろうと、教育研究所で研究が進んでいるようですが、どのように考えますか。

 市長 その人に合った教育機会を提供するために、三部制のニーズは高まっている。できることなら(教育委員会には)積極的にやってほしいと思っている。