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- カテゴリ: 第783号(2014年11月23日発行)
- 2014年11月23日(日曜)09:00に公開
- 作者: 戸田 照朗
米国で心臓移植を
響子ちゃん支援者が募金活動
特発性拡張型心筋症という重い心臓病のため、米国での心臓移植手術を目指す三輪響子ちゃん(11・中部小6年)の両親が先月29日、市役所で記者会見。両親の関係者や有志らでつくる「きょうこちゃんを救う会」が募金活動を開始した。響子ちゃんは今年9月に病状が急変。2010年に改正臓器移植法が施行され、15歳未満の心臓移植が可能になったが、まだ数件の移植例しかなく、響子ちゃんの病状を考えると米国での移植しか助かる望みはないという。
響子ちゃんは、2002年12月18日に生まれた。当時は健康で元気な女の子で、小学校に入ってからはチアリーディングクラブに所属した。
2012年6月、小学4年生の時に、学校の集団検診で心電図の再検査となった。再検査の結果は、心房性期外収縮不完全右脚ブロック(不整脈)と診断され、経過観察に。通常の生活を送っていたが、昨年7月、国保松戸市立病院での定期検診で、特発性拡張型心筋症と診断された。目立った症状はなかったが、医師からは心不全を起こしていることと、治すには心臓移植が必要だということが告げられた。10月には東京女子医大でも診察を受けたが、診断は同じで、抗心不全薬の投薬や厳しい運動制限を行った。
今年9月に体調不良を訴えたため、東京女子医大で診察したところ、重症の心不全を起こしており、入院した。心拍力低下で血液循環が低下したことにより、腎機能も低下。続いて肺に水が溜まり、呼吸が低下したため、外科的対処をすることとなり、9月18日に人工補助心臓をつける手術が行われた。その後、血栓が見つかったため、補助ポンプのパイプの取り換えのための再手術が9月26日に行われた。補助ポンプは、血栓が溜まりやすく、脳へのリスクがある。また、体外式のため、感染症のリスクが高く、一刻も早い心臓移植が必要だという。
臓器移植法の改正により15歳未満の心臓移植を国内で行うことが可能になったが、ドナー不足などからまだ数件の移植例しかない。国内での小児心臓移植の待機時間は平均2~3年。米国では半年程度と言われている。響子ちゃんの病状を考えると、米国での移植しかないが、健康保険が使えないため、米国での心臓移植には2億円程度の資金が必要になる。個人ではとても負担できない金額のため、両親の関係者や有志でつくる「きょうこちゃんを救う会」が募金活動を開始した。同会では、年内の渡米実現を目指している。米国ではコロンビア大学病院が受け入れるという。
【問い合わせ先】
〒271-0077 松戸市根本14-1津田ビル1F きょうこちゃんを救う会事務局(午前10時~午後3時)
電話・FAX 712・1160
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ホームページ http://kyoko-chan.jp/
目標額に達したため、同会による募金活動は終了いたしました。読者の皆様のご協力に心より感謝いたします。
臓器移植法とM君
臓器移植法が成立する前の1996年9月、市内在住のM君(当時6歳)が心臓移植手術を受けるために、米国のUCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)付属病院に入院した。M君は拘束型心筋症という難病で、移植以外に助かる道はないと診断されていた。11月5日に移植手術を開始。しかし、心臓がうまく機能しなかったため、12月4日に2度目の心臓移植手術が行われた。補助機械の副作用で胆のう炎を起こし、胆のうを摘出したが、その後は順調に回復し、翌97年8月24日に帰国した。
米国での心臓移植には、総額で2億4千万円の費用がかかった。とても個人で負担できる金額ではないことから、M君の兄が通っていた中部小学校の関係者や父の会社の同僚らが募金活動を行い、最終的に1億2千万円の善意が寄せられた。その後行われた病院側との交渉で、残り1億2千万円のうち、M君の両親の負担が数千万円にまで減額された。
M君が帰国した年の10月16日に臓器移植法が施行されたが、この時はまだドナーの年齢が15歳以上に限られていた。2010年7月17日施行の改正臓器移植法で制度上は15歳未満の臓器提供が可能になったが、小児臓器移植をめぐる状況は、M君のころとあまり変わらないようだ。