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決勝とは言え、高校野球にこれほどの人が集まるのか。
JR武蔵野線の電車内は通勤ラッシュ並みの混雑で、専松の応援に行くOGらしき3人組の女性がスマホを片手に「もうチケットやばいらしいよ」と話している。この電車は9時ごろにはQVCマリンフィールドの最寄駅、海浜幕張に着く。試合開始は10時だから、これでも余裕を持って出たはずなのに。
「え、まだ早いのに…」という女性の声に、同じことを思う。
それでも、まさか入れないということはないだろう、とタカをくくっていた。
弊社は弱小新聞社なので、記者クラブには入っていない。甲子園出場校の取材にはいろいろと手続きがあるらしい。かなり前だが、当該の学校に了承を得て取材に入ったのに、現場で朝日の記者に一言言われたことがある(松戸の学校ではなくても、出身者がいると取材していた時期があった)。大会前に手続きの案内がクラブを通して来るのだろうが、当然うちには来ない。
取材に規制を設けるのには、メディアスクラム(取材が過熱して、取材対象者が多大な迷惑をこうむること)という問題もあるのだろう。新聞社が主催することで大会をメジャーなものへと育てたという貢献も認める。しかし、○○新聞社主催が縄張り意識のようになってしまっては本末転倒だ。
決して選手や関係者、読者のためにはならない。
朝日系列のミニコミも箱根駅伝(讀賣新聞社共催)の取材から締め出されたら、いい気持ちはしないだろう。お互い様だと思うのだけどな。
という訳で、スタンドから写真を撮ろうと思っていたのである。内野からなら望遠を使えば十分に撮れるだろう。
しかし、球場前の長蛇の列を見て愕然とした。もうダメかと思ったが、係員に聞くと「外野席を開放したので、入れないことはないと思う」とのこと。で、滑り込みで外野席に座ることができた。せっかく並んだのに入れなかった人もいたようだ。
さて、試合。
エースで4番の原嵩(しゅう)くんは、疲れのためか制球が定まらず、1回表に1点を取られ、4回には背番号10の角谷幸輝くんにマウンドを譲った。
専大松戸も何度もチャンスを作るが、なかなか「あと1本」が出ない。
逆に習志野は4回と7回にも1点を加えて3対0とした。
ため息の専松応援団。重苦しい雰囲気。このまま行ってしまうのか…。昨年も決勝で敗れた。2年連続というのは、ちょっと可哀想すぎる。
そんなことを思い始めていた7回裏。1死2、3塁のチャンスに9番の寺元啓介くんがタイムリーを放ち、遠かった1点、いや2点が入った。相手ピッチャーが制球に苦しむ中、なんだか吹っ切れたように専松の打者が続く。1番渡辺大樹くんのタイムリーで同点に。
ここで一気に逆転といきたいところ。同点のままならもつれそうだったが、専松は再びランナーをためて満塁に。
ここで4番の原くんが満塁ランニングホームランを放って一気に4点を追加。
あっという間の出来事だった。気がつけば打者一巡、7点の猛攻。
思えば7回表、習志野は3点目を入れた後も1死2、3塁のチャンスだった。ここで、3塁ランナーが飛び出して挟殺。3塁を狙った2塁ランナーもタッチアウトとなって、一気にチャンスを失った。これで、ゲームの流れが変わったのかもしれない。
専松は8回、9回を守りきって、歓喜の瞬間を迎えた。もちろん、スタンドも大騒ぎだった。
会場に流れたインタビューで持丸修一監督は「選手を信じていた。待ちに待った7回だった。(原くんには)お前はエースじゃなくて4番なんだから、4番の責任を果たせ、と言って送り出した。(優勝の瞬間は)感無量です」などと話した。
キャプテンの岡本良樹くんは「(甲子園では)うちのワクワクするような野球をして、大暴れします」などと話した。
閉会式。
悲願を達成し、晴がましい顔の専松ナインの隣には、ガックリと肩を落とす習志野ナインが並んでいた。7回まで勝利を手にしかけていただけに、習志野もさぞ悔しかっただろうと思う。
まさに明と暗。勝負事だからしょうがないけど、この悔しさを昨年は専松が味わったわけだなぁ、と思う。
専修大学松戸高校の選手、関係者のみなさん、本当におめでとう。
一市民として、記者も本当にうれしい。
甲子園での活躍を期待しています。
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