猫の野生

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昔はいろんな動物を捕ってきたミンミン

 ミンミンが獲物を捕ってこなくなって何年ぐらいがたつでしょうか。おそらく10年くらい。
 子猫の時の、バッタやセミなどの昆虫に始まり、若かりし頃の野鳥、そしてネズミ。
 野鳥の巣を襲うらしく、大きな雛を2羽くわえて帰ってきたことがありました。あれは多分、カラスの雛だったのでしょう。スズメもよく捕ってきました。スズメは成鳥だったり、幼鳥だったり。なぜ猫に捕まるのか、ちょっと不思議でした。
 ミンミンも子猫の時に捨てられたか何かでノラだった子です。本来であれば、死んでいたかもしれない命を拾ったという思いもありますから、私としては複雑な思いでミンミンの狩りを見ていました。
 ですので、捕ってきた動物が生きていれば、基本的に逃がしてやります。それがネズミでも。
 ミンミンの頭をたたくと、その衝撃で口を開けるので、獲物を救出します。獲物をとられたミンミンは狂ったように探し回ります。あの時の目…。らんらんと輝いて、完全に野生に戻っています。それに、今までに聞いたこともないような唸り声。「血が騒ぐ」、というのはああいう状態をいうのでしょう。
 スズメは最初ぐったりしていますが、手で包んで温めたり、裸電球の熱で温めたりすると息を吹き返します。羽ばたけるようになったら、離してやります。
 ヒヨドリの雛を捕まえてきたことがあり、羽を怪我していたので、鳥籠を買って、飼育を試みたことがあります。2階の窓に籠をつるしておくと親鳥がやってきて、エサをやっていました。人間が与えるエサも並行してやるべきだったのでしょうが、親が来ているからと油断したために、ある日帰ってみると、冷たくなっていました。
 ネズミも生きていることが多く、それを家の中で離してしまうので、困りました。長い間、家の中で捕まらず、隠れていたのもいます。ある日、とうとうミンミンの餌食になりました。ずいぶん痩せていて、今思うとかわいそうです。
 そのネズミを最後に、ミンミンは狩りをしなくなりました。歳をとったせいなのか、理由はわかりません。
 一方、子どものころから完全室内飼いのさくらとちびクロは、迷い込んだハエを追いかけて遊ぶのがせいぜいです。


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