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- カテゴリ: 日曜日に観たいこの一本バックナンバー
- 2014年8月24日(日曜)09:00に公開
- 作者: 戸田 照朗
日曜日に観たいこの一本
ザ・イースト
環境汚染や健康被害をもたらす大企業に制裁を下す環境テロリスト集団「イースト」に、元FBI捜査官のジェーンが潜り込む。FBIを退職した後、テロから企業を守る諜報会社に雇われたジェーンは、組織への潜入捜査を命じられたのだ。恋人にも行く先を偽り、サラと名前を変え潜入することに成功した彼女だったが、企業の偽装や隠ぺいと被害者の悲痛な実態を知るうちに、彼らの信念に共感を抱き始める。
最初、ジェーンは「テロは犯罪」と単純な正義感で物事を考えていた。しかし、世の中はより複雑で、簡単に白黒がつけられないということがだんだんと分かってくる。「イースト」がターゲットに選んだ3社は本当に酷い。「Xファイル」シリーズにも出てきたが、こういう会社が本当にアメリカには存在するのだろうか。例えば、最初にターゲットとなった製薬会社は人体に「毒」となる薬を平気で売っている。中には死んだ人もいるという。
ジェーンが再就職した諜報会社はこれらの企業側に立って、環境テロリストから守る。そこに存在するのは善悪ではなく、「金こそ正義」という考え。しかし、人間にはやはり良心というものがある。ジェーンもそんな考えにはついていけなくなり、どうするべきなのか、葛藤に苦しむことになる。
この映画はジェーン役の女優ブリット・マーリングとザル・バトマングリが製作した。二人はバックパックひとつで放浪の旅をしていた時に、「イースト」のモデルになるような人々に出会い、この作品の構想を練ったという。ブリット・マーリングは写真のように美しい女性だが、豊かな才能も持ち合わせているようだ。
ジェーンは正体がバレれば、組織によって殺されるかもしれない。考えさせられるテーマを持ちつつ、ハラハラドキドキのサスペンス娯楽作品としても見ることができる。
監督=ザル・バトマングリ/製作=リドリー・スコット、マイケル・コスティガン、ジョスリン・ヘイズ・シンプソン、ブリット・マーリング/製作総指揮=トニー・スコット/出演=ブリット・マーリング、アレキサンダー・スカルスガルド、エレン・ペイジ、パトリシア・クラークソン/2013年、アメリカ
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