アバウト・タイム~愛おしい時間について~:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

アバウト・タイム~愛おしい時間について~

  イギリス南西部コーンウォールに住むティムは21歳の誕生日に父親から衝撃の事実を告げられる。一族の男性はタイムトラベルができる「能力」があるというのだ。ただ、その「能力」は自身が関係していることに限られていて、例えばヒトラーを殺して世界を変えるなどということはできないという。

 恋人が欲しい、というのがティムの唯一の望みだった。夏休み、妹キットカットの友達シャーロットが家に長期滞在することになった。彼女は金髪のモデルのような美人。淡い恋心を抱いたが、経験値も低いティムは寂しい秋を迎えることになる。

 就職のためにロンドンに出てきたティムは法律事務所で新人弁護士として働き始めた。ロンドンの生活で恋人ができるのかと悲観的な思いのティムだったが、程なく運命の女性・メアリーに出会う。ところが、人助けのつもりで「能力」を使って少し過去を変えてしまったために、大切なメアリーとの出会い自体がなくなってしまったのだった。これはなんとかしなくては、と奮闘することになる。

 あの時、こうしていたら…。その時は気がつかなくても、後になって考えればターニングポイントだったことに気がつく、ということは誰にでもあることなのではないだろうか。例えば、恋愛においてはそういうことが多い。タイムトラベルではないにしても、「あの時、携帯やメールがあったら、結果は違っていたかもしれない」。そんなことを思う中年以上の男女は多いのではないだろうか。ティムの「能力」を使えば、肝心なところをやり直せる。使い方を間違えなければ、ティムは確実に幸せに近づけるように思う。

 

アバウト・タイム~愛おしい時間について~の写真

 海辺に住むティムの家族の生活がうらやましいと思った。父は大学教授だったが、50歳で引退し、悠々自適の生活を送っている。少し変わったところのある母と、妹。そして、とぼけた感じの叔父が同居している。特別なことをするわけでもなく過ぎてゆく毎日の生活が、実に気持ちよさそうで充実しているように見える。

 ティムは父親と仲がいい。父親がティムを一人の人間として尊重しているからこういう関係になるのだろうか。その距離感がいかにも西欧の親子関係という感じがして、清々(すがすが)しい。

 ティムは妹とも仲がいい。妹もロンドンに越してくるが、妹の方は仕事も異性関係もいまひとつうまくいっていない。見かねたティムは「能力」を使って妹を救おうとする。こういう兄の気持ちも分かるなぁ…としみじみ思うのである。

 監督・脚本=リチャード・カーティス/出演=ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ、トム・ホランダー、マーゴット・ロビー、リンゼイ・ダンカン、リディア・ウイルソン/2013年、イギリス

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 「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」DVD税別3400円、4月24日発売、発売元・販売元=NBCユニバーサル・エンターテイメント