博士と彼女のセオリー:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

博士と彼女のセオリー

「車椅子の天才物理学者」スティーヴン・ホーキング博士の半生を描いた作品。

1963年、ケンブリッジ大学で理論物理学を研究するスティーヴン・ホーキングは、中世詩を学ぶジェーンと知り合い恋に落ちる。

しかし、ホーキングは筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、キャンパス内で倒れてしまう。ALSは重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、運動ニューロン病の一種。極めて進行が速く、半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡するという。ホーキングも医師から余命2年と宣告される。

徐々に体の自由が奪われていくホーキングだが、ジェーンは彼と結婚し、少ない時を共に過ごすことを選択する。

ホーキングは博士号をとり、研究を続けた。理論物理学者の立場から宇宙の起源の解明に挑み、現代宇宙論に多大な影響を与えることになる。著書は世界的なベストセラーとなり、一躍時の人となった。

ホーキング博士は現在73歳で健在。ただ、顔の表情や目を動かせるだけで体を動かすことはできない。気管を切開してからは、声を出すことができなくなり、パソコンを通じて音声を伝えている。

 

博士と彼女のセオリーの写真

眉や目を動かすことで感情を表現するという繊細な演技を主演のエディ・レッドメインが見事に見せている。

この作品では、博士の業績よりも、家庭生活のほうにより重点が置かれている。

ホーキング博士はジェーンとの間に3人の子をもうける。ジェーンはホーキングの小さな体調の変化にも注意して、献身的に介護をし、さらに3人の子の面倒も見る。余命2年と言われたホーキング博士が、50年たった今でも第一線で活躍できるのは、多分に彼女の力が大きいのだろう。

しかし、ジェーンも人間であり、一人の女性でもある。やがて夫婦の間には小さなすれ違いが生まれてゆく。

50年という長い時の流れの中で、二人の関係がどう変化していくのか。きれいごとではすまない部分も出てくるが、少なくとも二人とも誠実に生きたということは伝わってくる。

監督=ジェームズ・マーシュ/出演=エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、チャーリー・コックス、エミリー・ワトソン、サイモン・マクバーニー、デヴィッド・シューリス/2014年、イギリス

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「博士と彼女のセオリー」ブルーレイ+DVDセット、発売・販売元=NBCユニバーサル・エンターテイメント、発売日=8月5日、価格=税別3990円