cinema 766 1

日曜日に観たいこの一本

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

 1960年代初めのインド、ポンディシェリで生まれた少年パイ・パテルは、父が経営する動物園で動物たちと触れ合いながら育つ。ところが、パイが16歳になった年、人生が一転する。両親がカナダ、モントリオールに移住することを決め、家族と動物たちは貨物船でカナダへ向かうのだが、太平洋のど真ん中で突然の嵐に見舞われ沈没してしまう。たった一人、救命ボートにしがみつき一命を取り留めたパイ。ボートには助かったシマウマとオランウータン、そしてハイエナも同乗。しかし、そのボートにはリチャード・パーカーと名付けられた凶暴なベンガルトラが身を潜めていたのだった。

 物語は、この227日間の漂流生活を、取材に来た小説家に大人になったパイが語るところから始まる。しかし、どこまでが現実の話なのか。見ているとなんだかおかしいな、と感じさせるところもある。タイトルを改めて見て、227日間も漂流してたのか、と思う。パイのやり方でそんなに長く生きられたとは思えないし、映像からはもっと短い期間のように感じる。実はラストに大きな意味があるのだが、もちろんここでは書けない。見終わった後には、少し余韻を持って物語を反芻(はんすう)した。

 この作品で特筆すべきは、トラやほかの動物たち、海や島のリアルで美しい映像。海もCGだったのだろうか。

 

 監督=アン・リー/原作=ヤン・マーテル/脚本=デヴィッド・マギー/製作=ギル・ネッター、アン・リー、デヴィッド・ウォマーク/出演=スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、アディル・フセイン、タブー、レイフ・スポール、ジェラール・ドパルデュー/2012年、アメリカ・台湾