関さんの森が特別緑地保全地区に

栗山の斜面林に続き市内で2地区目

 今年3月15日に幸谷の関さんの森が都市緑地法の「特別緑地保全地区」に指定された。2008年3月21日に「特別緑地保全地区」に指定された栗山地区の全長約500メートル、約2ヘクタールの斜面林が市内では初の指定だったが、関さんの森(幸谷特別緑地保全地区)は2番目の指定となる。指定のための準備として、2011年4月~2012年3月に自然環境調査が行われたが、様々な種類の植物、昆虫、小動物、鳥類などが確認された。

2日に関さん宅の庭で行われた「協議会」の写真▲2日に関さん宅の庭で行われた「協議会」

 松戸都市計画道路3・3・7号横須賀紙敷線(幸谷区間)に替わる関さんの森の新設市道は、昨年9月28日に開通した。2010年4月30日に市と地権者の関美智子さん(77)、啓子さん(64)姉妹は、用地取得等の契約を締結したが、その際、「新設市道用地の引渡し及び緑地保全に関する合意書」とともに交わされた「覚書」には、2012年度末を目標に関さん姉妹の所有地のうち可能なかぎりの樹林地を公益財団法人埼玉県生態系保護協会所有の樹林地(姉妹が1995年に寄付した里山部分)と一体として、都市緑地法の「特別緑地保全地区」に指定する旨が書かれていた。

  都市部の緑を保全するために、実効性のある唯一の方法だとされてきたのが、「特別緑地保全地区」の指定だ。

  「特別緑地保全地区」に指定されると、所有権以外の権利の設定や工作物の設置、土地の形質の変更、木竹の伐採など緑地の保全に影響を及ぼす恐れのある行為が禁止されるなど、所有者に強い制限が課せられるが、一方で、相続税が8割評価減され、さらに市と20年以上の管理協定を結ぶと、2割の評価減となり、トータルで84%の評価減となる。また、所有者が樹林地を維持できなくなった場合は、市に買い取りの義務が生まれる。

 

黄線が特別緑地保全地区に指定された部分の写真▲黄線が特別緑地保全地区に指定された部分(市提供)

  この覚書により、「特別緑地保全地区」の指定、「市民緑地」区域の設定、「都市計画道路」の変更、「新設市道」の建設について検討するために、関さん姉妹と関係者、市職員で構成する協議会(「関さんの森」緑地保全および新設市道建設に関する協議会)が設置され、今月2日に7回目の協議会が関さん宅の庭で開かれた。

  関さん宅の庭や江戸時代からの蔵などがある部分については都市緑地法の「市民緑地」として、市と関さん姉妹が契約をかわす方向で協議が進められている。「市民緑地」とは、都市内に緑とオープンスペースを確保し、良好な生活環境の形成を図るために、土地所有者と自治体などが契約を締結して、一定期間住民の利用に供するために、設置・管理する緑地のこと。

  都市計画道路3・3・7号線の計画線は、関さん宅の庭を突っ切るように残っているが、新設市道の機能が将来にわたって果たせるかどうかを見極めながら、2014年度末を目標に都市計画の変更をする。

  2007年度に千葉県が航空写真をもとに行った調査(千葉県森林・林業統計書)から算出すると、松戸市内に残る森林の面積は、わずかに3・27%(市面積6133ヘクタールのうち、201ヘクタール)。都市化が進む近隣市でも状況は同じで、市川市が2・29%、船橋市が5・60%、柏市が9・59%などとなっている。積極的に保護を進めないと、森林は限りなくゼロに近づきつつある、というのがが現状だ。