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リベラル派衰退の原因をリベラル派の中に求める

リベラルじゃダメですか? 香山 リカ 著

リベラルじゃダメですか?の写真祥伝社新書 780円(税別)

 新書はやはりタイトルが大切だと思う。書店でこの本を見かけたとき、思わず手にとった。

 というのも、私はいわゆるリベラルと言われる人たちの言動に親近感を持ってきたからだ。リベラルとはざっくり言うと「自由・平等・公平」を目指すということだろうか。昔は革新という言葉もあったが、今や死語に近い。対するのは保守と呼ばれる人々である。しかし、最近の動向を見ていると、変えようとしているのは保守と呼ばれてきた人たちで、守ろうとしているのはリベラルと言われてきた人たちのようである。

 安倍政権は着々と安保法制を変えて、実質的に憲法9条の影を限りなく薄くしようとしている。最終的には憲法改正を国民に問う国民投票まで持っていこうとしているのだろうが、国民投票にかけた時には法改正によって、憲法改正の必要はない、あるいは法律に合わせるために憲法を変えるだけ、という変なことになっている可能性もあると思う。憲法が法律より上位にあるはずなのだから、これはおかしなことになる。

 毎日ニュースで国会での議論を聞くにつけ、私は焦りを感じるが、何もできない。

 現政権は選挙で勝った正当な政権だ。そして、内閣支持率も50%以上を維持し続けている。これが現実だ。

 著者の香山リカさんは、精神科医でリベラルな立場からの発言も多い。最近はネットでたたかれることも多いという。で、感じたのが、どうもリベラルは嫌われているのではないか、ということ。リベラル派の衰退の原因を、リベラル派の中に求め考察している。

 『「リベラル村」の違和感』といった小見出しで書かれたいくつかのことは、私が取材をしてきて同じように感じることもあるし、少なくとも松戸ではそこまではないな、と感じることもあった。

 先の都知事選で小泉氏と細川氏の元首相コンビが「脱原発」でタッグを組んだ時は、これは起死回生の一打になるのでは、と期待したが、結果的にはリベラル勢力はうまく乗ることができず、旋風を起こすにはいたらなかった。

 なにも1から10まで一致できなくても、「脱原発」の一点突破でいいんじゃないの。著者が感じたイライラと失望はよく理解できる。

 結局、保守勢力の方が現実的な妥協ができて、果実をもぎ取ることの大切さをよく理解しているのだと思う。リベラル派のように、善戦したから良し、とはしない。

 この書評を読んで、この本を手にとってくれる人たちは、やはりリベラルを自認している人たちだと思う。読んで考えていただきたいと思う。

 土曜日の午前中に「王様のブランチ」という番組があるが、この番組の中でTBS瞬間視聴率ランキングが放送される。いつも1位は日曜朝の「サンデーモーニング」だ。司会の関口宏さんはじめ、この番組のコメンテーターはほぼ全員がリベラルな発言をする。「喝」「あっぱれ」のスポーツコーナーの人気もあるだろうが、リベラル的な考えは決して嫌われていない、と思いたい。