リリーのすべて:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

リリーのすべて

1920年代、風景画家のアイナー・ヴェイナーは肖像画家の妻ゲルダと結婚し、デンマークで充実の日々を送っていた。まだ子どもには恵まれていなかったが、二人はとても仲のいい夫婦だった。

ある日、ゲルダは脚のモデルをアイナーに頼む。ストッキングをはいて、女物の靴を履かせた。自分の脚を見て、何かを感じたアイナー。

また別の日、ゲルダはアイナーに化粧と女装をさせて、二人でパーティに出かけた。みんなが、アイナーの女装に気が付くか。ほんの遊び心だった。アイナーは「リリー」と名乗り、パーティで男性に誘われた。

この日を境に、アイナーの中でリリーが占める割合が増えていく。まだトランスジェンダーとか性同一性障害といった言葉がない時代。苦しんだアイナーは、自分に何が起きているのかがわからず、病院に通うが、異常者のような酷い扱いを受けてしまう。

妻のゲルダはそんな夫の唯一の理解者として、献身的に支える。だが、彼女が愛しているのはリリーではなく男性としてのアイナーで、この心の葛藤が実に切なく描かれている。

 

「リリーのすべての写真

ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルはこの演技でアカデミー賞助演女優賞を受賞した。アイナー(リリー)を演じたのは、『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したエディ・レッドメイン。変わっていくリリーの苦しみや希望を実によく演じている。

私は異性愛者なので、トランスジェンダーの方の本当の苦しみはわからない。しかし、この作品はトランスジェンダーが主題であったとしても、人を人として愛すること、夫婦愛の物語のように見える。

監督・製作=トム・フーパー/出演=エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル、ベン・ウィショー、セバスチャン・コッホ、アンバー・ハード、マティアス・スーナールツ/2015年、イギリス、ドイツ、アメリカ

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「リリーのすべてブルーレイ+DVDセット」、発売・販売元=NBCユニバーサル・エンターテイメント、発売中、税別3990円